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水稲・芝用除草剤「グラチトール」を取得
除草剤事業をさらに拡充・強化

― SDS ―

 昭和電工(株)(大橋光夫社長、本社:東京都港区)は6月19日、中外製薬(株)が開発し連結子会社の永光化成(株)が製造・販売している水稲・芝用除草剤「グラチトール(一般名:カフェンストロール)」を連結子会社の(株)エス・ディー・エス バイオテック(=SDS)が取得する旨、記者会見を行った。農薬・除草剤事業に大きな弾みがつく。
 中外製薬(株)は現在、グループの経営資源をコア事業である医薬品事業へ集中化する方向で各種施策を展開。永光化成(株)についてもその一環として事業構造改革(環境衛生用材事業、農薬事業、殺虫剤生産事業の抜本的見直し)に取り組んでいる。
 今回の「グラチトール」の譲渡を柱とした同社農薬事業の再編・縮小は、本年4月、既に撤退を開始した環境衛生用材事業に引き続いたもので、今後、永光化成(株)は中外製薬(株)の殺虫剤(バルサン)受託生産事業に特化していく。
 一方、昭和電工(株)は、現在進行中のチータ・プロジェクト(中期経営計画の前半3カ年計画)において特殊化学品事業を成長戦略事業と位置付け、コア事業として、とりわけ農薬事業に注力している。また、昭和電工(株)のグループ会社である(株)エス・ディー・エス バイオテックは、こと除草剤事業に豊富な経験を持ち、同事業のさらなる強化を狙っていた。今回の譲渡は、このような両社の利害が一致したもの。
 なお、「グラチトール」原体は、上市当初よりその殆どを有機合成技術に優れる昭和電工(株)の東長原事業所(福島県河東町)が生産を受託しており、今後も昭和電工(株)が生産を継続する。
 「グラチトール」は、低薬量で優れた除草効果を有しており、特に、水稲用除草剤の混合基剤(ヒエ剤)として国内第2位のシェアーを誇っている。現在、混合剤として16剤が上市され、約50万ヘクタールの水田で使用されている(水稲用除草剤シェアーは約28%)。「グラチトール」としての年間売上高は約20億円。
 (株)エス・ディー・エス バイオテックは、主力製品である水稲用除草剤「ダイムロン」の他、本年上市した新規水稲用除草剤「ベンゾビシクロン」に加え、今回の「グラチトール」の譲渡により、一社で3剤の水稲用除草剤を有することになり、この分野の事業展開に一層の強みを発揮することが期待される。
 具体的には、昭和電工(株)グループとして収益向上が図れるほか、ユーザーである製剤メーカーに対しても、既に「グラチトール」と「ダイムロン」が混合された製品が数多く販売されていることから、営業活動上での大きな相乗効果が見込まれている。現在の同社の売上高は137億円であり、2005年には180億円に達する模様。除草剤事業のシェアーも、23%強から25%強に拡大する見通し。
ソイリーン
バイオトピア
プラズマ
クサコント
 【解説】 このところ、(株)エス・ディー・エス バイオテックの事業に求心力が生まれている。先ず製品の品揃えも光っており、土壌くん蒸剤「ソイリーン」(平成11年12月農薬登録)、芝生用殺虫剤(天敵線虫)「バイオトピア」(平成12年10月)、BT剤「チューンアップ」(平成12年10月)、土壌くん蒸剤「プラズマ」(平成12年12月)、水稲用除草剤「クサコント」、「スマート」(平成13年4月)と、よりワイドになった。
 また、シプロコナゾールを有効成分とした「木材保存剤」(LC−350)も魅力。従来型のLC−250から完全に置き換えていく。
 さらに、フマキラーとの合弁によるフマキラー・トータルシステム(株)も順調な滑り出しを見せている。
 (株)エス・ディー・エス バイオテックは1998年4月末、旧サンドの製品20数品目(約30億円相当=筆者推定)をノバルティス アグロ(株)に譲った。同社にとっては大変な出来事であったが、真摯な態度で臨む同社の姿勢に、業界は静かなるも大きな拍手を送っているのではないか。
 現在、業界は国際的な企業の統合・再編で大きく揺れている。このことは、国内企業においても同様のことが言え、共通しているのは「内外共に秒読み段階にある」ということだ。将来的に、アグロ カネショウ(株)、北海三共(株)、そしてここに登場した(株)エス・ディー・エス バイオテックなどが異彩を放つことになると思える。

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