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アグリビジネス業界ニュース

平成13年度総会の一環として 環境保全と生態系で講演会
― 静岡県緑の安全推進協会 ―

杉山日出男会長
静岡県緑の安全推進協会
杉山日出男会長
 
高橋和彦氏
静岡県農業試験場
土壌肥料部主任研究員
高橋和彦氏
 
竹内安智氏
宇都宮大学野生植物科学
研究センター教授
竹内安智氏
 

 静岡県緑の安全推進協会(杉山日出男会長)は6月29日、静岡市紺屋町のブケ東海静岡において平成13年度総会、特別発表「静岡県の土・水環境と生物多様性管理に果たすゴルフ場の役割」及び記念講演「植物の他感作用と共栄植物」を行い、盛況を極めた。
 先ず、平成13年度総会から。平成12年度事業報告並びに収支決算、平成13年度事業計画並びに収支予算案の全ての議案を承認した。席上、杉山会長は、農薬を取り巻く諸課題の中で、「気を抜くことなく、農薬の安全性の啓発活動に精力的に取り組んでいきたい」、と力強く語った。
 また、特別発表では、高橋和彦静岡県農業試験場土壌肥料部主任研究員が「静岡県の土・水環境と生物多様性管理に果たすゴルフ場の役割」で講演。生物多様性の視点では、貴重種、希少種だけでなく、身近な野生生物をも、地域の生態系に則って保護の対象にすべきだと、強調した。
 ゴルフ場の役割としては、草地、森林、湖沼、河川、砂地など多様な自然環境の再評価、地下涵養機能、アメニティ空間・ビオトープとして期待される、としている。このビオトープとは、特定の生物群集が生存できるような、特定の環境条件を備えた均質なある限られた地域を指している。
 一方、記念講演では、竹内安智宇都宮大学野生植物科学研究センター教授が「植物の他感作用と共栄植物−ゴルフ場における芝草相互間と他の植物との巧妙な会話−」で講演した。他感作用(アレロパシー)とは、植物が放出する化学物質が他の植物に何らかの阻害的、あるいは促進的な作用を及ぼす現象であり、興味ある講演となった。
 竹内教授は、21世紀は「生物が本来有する機能を最大限に利活用する時代」としながら、「植物、微生物、生物の持つ機能の再開発、相互協力の能力を見出し、巧みに利用していきたい」と結んでいる。
 地球上には、23万種類の植物が存在している。この内、500種は作物として、1,000種は雑草として身近な存在であるものの、その多くは未だ十分調べられていない未利用の資源かも知れない。快適な人間生活を営むには、多大な時間と労力をその植生管理に充当していかなければならない。



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