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統合メリット還元を強調
  
21経済連とJA全農が合併契約に調印
  経済事業改革にはずみ (10/20)


 JA全農と21経済連は来年3月31日の合併に向けた合併契約調印式を20日、東京都内で挙げた。
 21人の経済連会長は壇上に並んで調印をすませたあと、つなぎ合わせた両手を掲げて、新しい統合連合のパワー発揮へ決意を示した。これでJAグループの経済事業は本格的な2段階へと大きく踏み出した。調印したのは青森、山形、庄内、栃木、千葉、山梨、長野、新潟、富山、石川、岐阜、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、岡山、広島、高知、福岡、長崎の21経済連で、今後、所定の手続きを経て来春、新全農が発足する。

 経済連は48(山形県は2経済連)あったが、宮城、鳥取、島根の3県連が1998年10月に、次いで東京、山口、徳島の3都県連が今年4月に全農と合併。
 続く今回の調印によって、一挙に合計27都府県連との統合が実現した。これで過半数の都府県が『JA−全農』という2段階の事業と組織の体制になる。
 今後は合理化と効率化をいっそう進め、3段階運営にかかっていた重複コストを省くなどして事業競争力を強化する。
 残る経済連の中には、新たに統合方針を決めた組織もあり、2002年4月の合併実現に向けて第3次統合に取り組む。

 20日の調印式には谷洋一農相が出席して祝辞を贈り「組合員・農家が、合併して本当によかったといえるような統合連合にしてほしい。生産資材などの供給には量販店以上の努力が必要だ。農水省としてもそうした努力に対する支援に全力を挙げる」と励ました。
 一方、全農の大池裕会長(合併委員会委員長)はあいさつで「合併後の全農が目ざす方向は、組合員とJAが最大限のメリットを享受できる事業運営を行うこと、合併JAの機能確立を支援し、補完機能を果たすこと、消費者と取引先の信頼を一層向上させることだと考える」と述べ、組合員への統合メリット還元を強調した。
 また新全農の役割と使命について、具体的には「中期事業構想」としてとりまとめ、来年3月の総代会にかけると明らかにした。
 さらに四ノ宮孝義専務は報告事項の中で、新全農の目ざす方向について@地域農業振興に向けた支援強化A農畜産物の販売力・商品開発力の強化B生産資材コストの低減C快適な地域社会の創造−−という4本柱を挙げた。
 21経済連会長もそれぞれ談話を発表し▽生産資材の価格競争力の強化▽産地ブランドづくりなどによる県産品の販売拡大▽多面的な販売網の強化−−などを強調した。

 合併によって新全農の事業分量は8兆1222億円(12年度事業計画ベース)、協同会社は21社、職員数は1万809人となる。
 また府県経済連は解散するが、府県域の意思反映と地域性を発揮した事業運営を行うため、それぞれ府県本部を置く。経済連が二つの山形県の場合は「山形県本部」と「庄内本部」の2本部制となる。
 未合併県連については茨城、埼玉、大分、宮崎の4県連が、すでに全農との統合研究会を設置しており、理事会で統合決議をした数県連も2002年4月をめどに合併に取り組む。
 10月12日のJA全国大会決議は「経済事業の改革」として、生産資材コスト低減や販売力の強化などを掲げたが、これらは統合連合による取り組みでこそ効果が挙がる内容だ。今回の合併は、その「改革」への大きなステップとなる。
 生産資材コストの低減では、統合連合が「広域受発注・物流情報センター」を設置し、そこを通して農家の発注した資材がメーカーから直接、JAなどの「農家配送拠点」に流れる仕組みを構築する。
 また商品開発では、量販店・外食産業、食品産業などに企画提案してプライベートブランドを共同開発。さらに資本を含めた業務提携なども検討して、多様な販路を開拓する。
 これら改革の具体的な課題は中期事業構想で示す。
 一方、業務改革の課題には、重複機能の排除による間接コストの削減などがある。統合連合は、これらを引っくるめたトータルコストの削減をねらう。



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