JACOM ---農業協同組合新聞/トップページへジャンプします

農政・農協ニュース

日中閣僚会議 合意できず (12/11)

 ねぎなど3品目のセーフガード(緊急輸入制限措置)問題で日本と中国の閣僚級協議が12月11日に北京で行われたが、結局、物別れに終わった。日本政府は今後も話し合い解決の道を探る方向だが、次の協議の日程も決まっていない。
 日中協議は、平沼赳夫経産相と武部勤農水相と中国の石広生対外貿易経済合作部部長(日本では大臣に相当)との間で行われた。日本側は、2国間で3品目の輸入が急増しないよう政府も加わった貿易ルールづくりを主張するとともに、日本の自動車などに対する報復関税措置を取り下げることを求めた。これに対し石部長は、両国政府が関与して貿易ルールをつくることに合意できる点もあるとしながらも、報復関税措置の取り下げはしないと主張。最終的に合意に至らなかった。11日は中国がWTO(世界貿易機関)に正式加盟した日。報復関税措置はWTO協定違反だが、それでも石部長は従来どおりの態度を変えなかった。
 本発動の期限は昨年、セーフガード発動に向けた政府調査が始まってから1年後の今月21日。協議が不調に終わった場合は速やかに本発動すべきとの主張は、JAグループや与党、国会も含めた声だ。だが、閣僚級協議ですら何の進展も見られず、まさに物別れに終わったにも関わらず、政府は話し合い解決をめざしている。

◆畳表308%増 3品目の輸入急増続く

 12月12日、財務省は暫定措置期限後、4週目(12月1日〜7日)の3品目の輸入モニタリング結果を公表した。この間の輸入量は前年対比で、ネギが131%、生しいたけが84%、畳表が308%だった。価額でみると生しいたけ116%、畳表386%(ネギは前年に比較できるデータがない)と急増している。
 これを暫定措置水準と比較するとネギ278%、生しいたけ118%、畳表381%となる。表はJA全中がまとめた暫定措置期限後から11月末までの輸入状況だが、4週目のデータも加えれば3品目とも急増していることは明らか。政府は暫定紀元後に輸入急増という事態になれば本発動する方針を示してきた。「直ちに本発動すべき」との声はますます強まることが考えられる。

◆JA全中 5回めの集会開く
 「産地崩壊の危機」訴える

 日中閣僚協議が行われた12月11日、JA全中と全国農政協は「セーフガード本格発動実現 全国代表者集会」を開いた。
 JA全中の原田睦民会長は主催者あいさつで「所得の激減と産地崩壊の危機に直面し、全国に怒りの声が渦巻いている。政府は毅然とした態度をとりただちに本発動すべきだ」などと訴え、出席した約400人の生産者、JA関係者に本発動実現に向けて総力をあげて取り組むよう呼びかけた。
 また、丸本正憲青果対策本部委員長は、「本発動は正当に認められた当然の権利。不当な圧力に屈して発動しないならわが国は主体性を失ったと言っても過言ではない。絶対に妥協すべきではない」と本発動実現を与党に要請した。
 与党からは中川昭一自民党農林水産物貿易調査会長や松岡利勝・日本の農業を守る特別行動議員連盟会長らが出席した。
 中川氏は「話し合いで決着がつかなければ本発動をするというのは党として正式に決定したこと。与党の決定をきちんと守っていくのが議院内閣制。小泉総理も分かっていると確信している」と述べた。セーフガード本発動を求めるJAグループの集会は今回で5回めとなったが、松岡氏は「本来であればこういう集会はなかったし、他国であれば粛々と発動されたはず。われわれの申し入れに対し、平沼経産相は、輸入急増になれば発動すると話した。その後、(急増しているにもかかわらず)発動しないから、これは“食言”になる事態だ、とも話している」と強調した。
 集会の時間には、ちょうど北京で日中協議が行われていた。松岡氏は「今日はとにかく協議の行方を見守りたい。閣僚が行っているのだから手ぶらで帰ってくることはないはずです」と話したが、集会終了後に、日中協議は物別れに終わり両大臣は帰国の途についた、との一報が流れた。政府への批判は一層高まる。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
webmaster@jacom.or.jp