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農政・農協ニュース

介護保険事業の黒字転換目ざし
JA支援の「ネットワーク」設置へ
−−全中が組織討議案を提起 (12/13)

 介護保険事業が始まって2年近い。JAの同事業が成功するかどうか、微妙な時期にあるとして、JA全中は「JA高齢者福祉ネットワーク」(仮称)をつくってJAを支援していくことを13日の理事会で了承した。来年1月末までに組織討議をし、4月設置の段取りだ。
 361JAが760の事業所を持つJA介護事業の総売上高は、今年度で100億円を超す見通し。これに厚生連の事業を加えると200億円超で、日本有数の事業者グループとなる。新たなネットワークは、これを結集した代表として政府に政策提言や制度要求をし、発言力のパワーアップをはかる目的を第一に掲げた。
 そして関係法令や行政情報、また民間事業者の情報などをJAに提供し、相談に乗り、きめ細かな事業指導をしていく。このためインターネットにホームページを開設し、双方向のコミュニケーションを確保する。またモデルJAを設定してビジネスモデルを追求するほか、経営状況の観測JAの設定や、簡易経営診断ソフトの開発なども予定。事務局はJA全中に置く。
 JAの介護事業収支は、訪問介護が1事業所あたり約300万円の赤字で、報酬単価が低いことなどから、多くの民間事業者も同じ状況。居宅介護も赤字で、収支は苦しい。
 このためネットワークは来年度から3年間で総合収支の黒字転換をめざす。ネットの設置期間も3年間に限定した。継続するかどうかは2004年に検討する。
 農業人口の半分は60歳以上。シルバー市場でのJAの事業ウエイトが高いこともあり「高齢者福祉事業は、10年後のJAの地域基盤を形成する事業」(今尾和実JA全中常務)とされる。現実に毎月約2万3000人の高齢者がJAの介護サービスを受けている。地方公共団体の施設運営を受託する形態などは、JAの収支も好調だ。しかし介護保険事業を実施しているJAはまだ全JAの約3割に過ぎない。
 実施しているJAも経営管理に加え、サービス中に事故を起こしたりする品質管理や、ケアマネージャーなど責任者に業務が集中する労務管理の問題も数多い。ネットワークは、こうした問題に対応していく。
 すでに都道府県中央会や厚生連で対応している場合は、全国ネットがバックアップに回り、そうでない県域では直接の支援をする。会費は1JA月2500円。


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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