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農政・農協ニュース

JA組織の底力示して希望を開く実績挙げる
先頭に立った500組合を讃えて
−−JA共済優績組合表彰式

 JA共済の新契約高は長期共済が4年連続、年金共済が2年連続で平成13年度の全国目標を達成。また短期共済もほぼ順調な実績を確保した。その普及推進の先頭に立って優れた実績を挙げたJAを表彰する「JA共済優績組合表彰式」は5月21日、東京・隼町の国立劇場で開かれ、JA共済連の新井昌一会長と土屋文夫副会長から計500組合の組合長らに表彰状が贈られ、その栄誉を讃えた。またみどり国民年金基金の推進で特に優秀な6組合には感謝状が贈られた。

JA共済優績組合表彰式
 新井会長はあいさつの中で「輸入農産物の流入や、BSE発生に伴う牛肉消費の低迷など、農業全体が大きな痛手を受けた」ことなど前年度の農業情勢は「一段と厳しかった」と指摘。
 共済事業をめぐっては、一昨年まで生保・損保の経営破たんが相次いだ中で、各社とも逆ざや問題などを抱えて経営基盤の強化に努めており、業界の再編とともに、ますます競争が激化している」とした。
 こうした環境のもと、JA共済事業は「系統役職員の昼夜をわかたぬ懸命な努力によって、新世紀の幕開けとなる年度に勇気と希望の持てる素晴らしい実績を挙げた」と全国のJA役職員の労苦に感謝し、深甚な敬意を表した。
 また、その成果を「心から誇りに思うとともに、目標必達に向けて結集された推進力は、JA組織の底力を示したものであり、心強い限りである」と述べた。
 さらに「14年度は『地域における満足度・利用度No.1を目ざす事業の確立』を掲げたJA共済3か年計画の中間年度として重要な年度」とし、保有契約高の純増や、契約者数の確保などの課題を挙げた。
 そして『JA共済しあわせ夢くらぶ』をはじめとした新たな仕組みを最大限に活用して『ひと・いえ・くるま』の総合生活保障の確立を図っていただきたいと呼びかけた。
新井昌一会長
新井昌一 JA共済連会長
 来賓祝辞ではJA全中の原田睦民会長が「共済事業が組合員と地域社会になくてはならない信頼性のある事業に発展するように今後ともがんばりましょう」と激励した。
 JAグループの課題の中では、特にWTO農業交渉について「日本提案実現のためには来年3月までが極めて重要な期間となる。交渉にのぞむ政府に力を与えるためには国民各層の理解と強力な支援が必要」と強調。「地域住民の関心を喚起するために、JAごとに多様な取り組みをしてほしい」と協力を求めた。

 次いで全共連の前田千尋専務が表彰JAの審査報告を行った。選定は13区分で行われ、合計500組合が受賞した。
 特別優績表彰は、静岡県・遠州中央農協、愛知県・なごや農協、滋賀県・グリーン近江農協をはじめ計49組合。
 新契約優績表彰は4区分で選定。(1)総合優績の部は愛媛県・西宇和農協をはじめ57組合、(2)長期共済の部は山梨県・フルーツ山梨農協をはじめ84組合、(3)年金共済の部は北海道・美唄市農協をはじめ60組合、(4)短期共済の部は鹿児島県・あいら農協をはじめ63組合。
 普及活動優績表彰は、熊本県・上益城農協をはじめ125組合。
 連続受賞優績表彰は7区分で、(1)35年連続が3組合、(2)30年が3組合、(3)25年が5組合、(4)20年が8組合、(5)15年が3組合、(6)10年が8組合、(7)5年が31組合。
 受賞組合を代表した各組合長らは壇上で新井全共連会長らから表彰状を受け、会場には、組合員・利用者の広範な生活総合保障の拡充と事業の発展に貢献した輝かしい功績を讃える大きな拍手が響いた。

登壇表彰JAの組合長

登壇表彰JAの組合長

 次いで、みどり国民年金基金の推進で優秀な成績を挙げた京都市農協をはじめ6組合に感謝状を贈った。
 このあと武部勤農相と扇千景国土交通相などからの祝電披露があった。国土交通相は自動車共済と自賠責共済の普及推進に感謝して祝電を寄せた。
 閉会あいさつでは全共連の中川泰宏副会長が「新しい時代に適応できるようJA改革に取り組んで、14年度も見事に目標を突破して、来年またお会いしましょう」と述べた。
 なお国立劇場を会場にしたのは今回が初めてで、出席者は午後から、公演中の『天平の甍』(前進座)を観劇した。


◆高いJA共済への信頼
  今後の推進に弾みつけた前年度実績

表彰状を贈られる組合長
表彰状を贈られる組合長

 JA遠州中央の山ア春太郎組合長ら特別優績組合を代表して表彰状を受けた組合長らは、優れた実績を挙げることができた根底には「JA共済に対する組合員・利用者の信頼の高まりがあった」と語っている。
 その談話には、人と人との絆を強めてきたJAの努力を誇る自負もあった。
 抱負としては「満足度、利用度の『地域NO.1』に向けてがんばりたい」と述べ、保有契約高の純増なども強調した。
 こうした取り組みを先頭にJA共済は前年度の新契約高を長期共済で29兆9613億円(保障金額)とし、全国目標を突破。3か年計画の初年度にあたって今後の事業推進に弾みをつけた。保有契約高は387兆5014億円となった。
 年金共済の新契約高も年金額で1764億円と目標を達成した。保有契約高は年金年額が1兆4346億円。
 短期共済の新契約は件数で2617万件、掛金で4384億円。特に自動車共済は851万件、自賠責共済は342万台であった。
 一方、前年度の支払い共済金は、満期共済金・事故共済金などを合わせ、2兆5670億円となった。


◆祖父から孫まで3代にわたってJA共済に加入
  −−緒方直人さん

緒方直人さんと元NHKアナウンサーの須磨佳津江さん
緒方直人さんと元NHKアナウンサーの須磨佳津江さん

 表彰式に先立ち、JA共済のイメージキャラクターとしておなじみの俳優緒方直人さんと仲間由起恵さんがあいさつした。そのあとNHKの須磨佳津江アナウンサーの司会でトーク。
 緒方さんには6歳と2歳の子供があり「もちろん、JA共済のこども共済に入っています」と答えて会場からは大拍手。「共に男の子で元気が良すぎる。JA共済で安心をいただいています」という。
あいさつする仲間由起恵さん
あいさつする仲間由起恵さん
 イメージキャラクターになってすでに6年。テレビコマーシャルではJA共済のライフアドバイザー(LA)役が好評だ。
 「私はLA役ですから、役づくりのためにも、こども共済加入は当然のこと」とイメージ通り堅実な役者姿勢を示した。
 ちなみに直人さんの父緒方拳さんも、かなり以前から加入しており、祖父から孫まで3代にわたるJA共済ファンだ。
 「これからも元気にJA共済をPRしていきます」と健闘を誓った。
 なお直人さんは岐阜県のJAグループが製作支援をした映画「郡上一揆」に主演するなどJAグループと縁が深い。
 仲間さんは2年前に自動車運転免許を取ったので、すぐに「自動車共済と自賠責共済に入りました」などと語った。


◆「しあわせ夢くらぶ」など新仕組みを活用し
  今年度推進で総合保障確立図る

 今年度は新しい仕組みを最大限に活用して『ひと・いえ・くるま』の総合生活保障の確立を図る。
 近年の新契約は長期共済のうち建物更生共済の伸びが大きく、生命共済のシェアが低下したため前年度はその引き上げに力を入れて52%強にまで回復した。
 これは今年度以降の総合保障確立への推進力につながるものと期待される。
 新しい仕組みでは、4月から『JA共済しあわせ夢くらぶ』がスタートした。既契約者の満足度と新規加入者の利便性を向上させるサービス制度で、2つの仕組みと付帯特典からなる。
 仕組みの1つは『JA共済フォルダー』といい、契約者単位で契約管理をし、従来は契約別にしていた住所変更などの手続きや定期的な契約案内を一本化する等のサービスを提供する。
 もう1つは『プラス割引(共済契約通算割引)』でフォルダー内の契約の通算保障金額に応じて、新たに加入する生命・建更・自動車の共済掛金を割り引く仕組み。
 この2つにフォルダーの付帯サービスである「しあわせ特典」を組み合わせた制度が『JA共済しあわせ夢くらぶ』だ。
 同特典には温泉保養施設の宿泊や飲食などの優待割引サービスがある。

 一方、生命総合共済の仕組改訂では、がん共済を新設した。次世代層などの生存・医療保障ニーズに応えた仕組みで、がんにかかる入院・手術などの保障を低廉な掛金で提供する。がん入院共済金を基準に他の共済金の額が定まる仕組み。
 また終身共済の掛金払い込み期間を延長した。共済加入年齢15歳から、掛金払い込み終了年齢60歳、または65歳を、選択できるようにした。
 従来は払い込み終了年齢の上限が加入15〜19歳の場合55歳、20〜24歳の場合は60歳だったが、改訂で長期の払い込み期間を選択できるようにした結果、毎回の掛金負担を軽くすることができるようになった。
 一方、自動車共済では自動継続特約を新設した。従来は継続のたびに契約申込書を必要としていたが、契約内容が同じなら自動的に継続できるようにした。
 この特約を付けた上で、所定の条件を満たした場合「しあわせ夢くらぶ」のプラス割引が適用される。
 普及推進は、JA役職員による一斉推進という基本に加え、LAによる推進が不可欠となっている。複雑化した仕組みの保障内容や他社との違いをきちんと説明できる専門性が求められるからだ。
 このため全共連は、さらにLA育成に力を入れ、15年度には2万1000人体制を目ざしている。


◆「JA共済しあわせ夢くらぶ」100万件を突破

 JA共済連(新井昌一会長)は、高額契約者に優遇サービスを提供する「JA共済しあわせ夢くらぶ」の登録件数が、5月20日に100万件を突破したと発表した。
 「JA共済しあわせ夢くらぶ」は、複数のJA共済契約を共済契約者単位にまとめて管理する「JA共済フォルダー」に登録し、「フォルダー」に登録された長期共済契約の共済金100万円を1ポイントとし、フォルダー内の契約ポイントの合計が30ポイントに達している場合、今年4月1日以降に新たに締結された長期共済、自動車共済の共済掛金を割引くなどのサービスを提供するもので、今年4月1日にスタートした新制度だ。
 JA共済連では、3月末の30ポイントを超える対象者は約460万人と推定。さらに30ポイント未満の対象者や未加入者への推進を進めて、16年度末にはくらぶ会員を790万人にすることを目指している。
 サービス開始から50日で100万件を達成したのは、「JAにおける意欲的な取り組みの結果」だが、とくに「自動車共済の契約継続時に、『しあわせ夢くらぶ』の優遇サービスを訴求した取り組みが登録を加速しているもの」とJA共済連では考えている。


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