JACOM ---農業協同組合新聞/トップページへジャンプします

農政.農協ニュース

マイナー作物に農薬の適用拡大
――11の作物群を設定―農水省 (1/6)

 農水省は、改正農薬取締法が臨時国会で成立し、今年3月からの施行を前に、生産者・生産者団体などから強い要望が出されていた適用農薬が少なかったり、まったくない地域特産作物などマイナー作物への適用拡大について、11の作物グループに分類し、農薬メーカーが登録変更申請を行えば、「安全性を考慮して登録を受け付けることを検討している」と、昨年12月26日の「農薬使用基準に関する農林水産省検討会及び中央環境審議会土壌農薬部会農薬専門委員会合同会合」で明らかにした。

◆300作物で適用拡大を要望

 農薬登録をするには、農薬メーカーや輸入業者は登録申請時に、対象作物ごとに作物残留試験、薬効試験、薬害試験の成績を提出しなければならない。しかし、そのためには一定のコストがかかるために、販売量が期待できる主要作物を適用作物として申請する傾向が強く、栽培面積の少ない作物(マイナー作物)は、使える農薬が少なかったり、まったくない状態にある。そのため、植物学的に同一科に属する作物や栽培体系が類似する作物に適用されている農薬を使用するなどの防除が行われてきた。しかし、改正農取法ではこうした農薬の使用をすれば生産者も「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」という処罰を受ける。
 このため、マイナー作物への適用拡大が強く求められてきた。農水省が農薬適用拡大の必要性を各都道府県に調査したところ、作物・農薬・対象病害虫の組み合わせで延べ約9500件、作物数で約300作物の要望がだされた。

◆同一科などでグループ化

 農水省では、
1.植物学的に類似性が高いもの(原則として同一科に属するもの)を同一作物群とする。
2.原則として、作物としての利用部位(分析部位)が同一であること。
3.作物の形状、表面の状況および重量が大きく異ならないこと。
4.栽培方法、生育時期、生育状態などが大きく異ならないこと。
という作物群設定の考え方にもとづいて、表1のようなグループに整理し、登録変更申請を受け付ける方向で検討に入った。

表1 作物のグループ化

◆適用外使用で一定期間の経過措置も

 こうしたグループ化による適用拡大措置をおこなっても、まだ過半数以上のマイナー作物については、登録農薬に適用がないか少なく、病害虫が発生したときの防除手段がなく、農業生産の安定に大きな障害となる可能性は高い。そのため、農水省では、都道府県知事が農薬とその適用作物を農水大臣に対して申請し承認を受ければ、一定期間、経過措置として適用外農薬を使用することを認めることにしたいとしている。
 この経過措置の承認は、「その農薬を使用できなければ農業生産の安定に著しく支障をきたす場合」で、かつ「申請作物が属する区分(注:13に分類されている)に含まれる他の作物で既に使用が認められている農薬であること」「使用が認められている作物の使用時期、使用濃度の範囲内であること」という条件を満たしている必要がある。
 今後の日程は、1月22日に開催予定の前記合同部会で省令案を審議、その結果を1月30日開催予定の農業資材審議会農薬分科会に報告。その後、パブリックコメントを受付、3月に改正農取法と省令が施行されることになっている。

分離して登録する作物


農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
webmaster@jacom.or.jp