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農政.農協ニュース

大規模合併JAの体質に痛烈な批判も
全中の経済事業刷新委員会 (1/17)

 外部の有識者を含めたJA全中の経済事業刷新委員会は第7回を1月17日に開き、JA全農福岡県本部の「八女茶」表示違反で手厳しい意見が相次いだ。「いくつかの県本部には、全農との統合後も昔の経済連と同じような自分の県域だけを守っていればよいという意識があるのではないか。全国本部に報告を求められても応じない(隠していた)など普通の企業では考えられない。あきれた話だ。意識の一体化を急ぐべきだ」との連合会批判が出た。
 「全農チキンフーズ事件のあと、全農組織はコンプライアンス(法令順守)による業務改善に逃げ込んだともいえる。コンプラではなくて、それよりも前に協同組合として、本来どういう姿勢を持つかが大事だ。消費者に安全・安心を届けようと本気で考えているのか疑われる」
 「国産農産物はヤバいというイメージが定着すれば消費者の声を受けて流通のあり方が変わってくる。例えばスーパーなどが直接生産現場に出向いて監視するようになれば農協の存在理由はなくなる」といった危機的状況の指摘もあった。
 同委員会の小島正興座長(国民経済研究協会監事)はJAグループには「危機感が足りない。危機意識がないと改革のエネルギーが出てこない」と説いた。
 「全農はペーパー報告で総点検をした。それでは現場の実態はつかめない」とのJA組合長の意見も出て全農の田林聰理事長は「今度の総点検は伝票の一枚々々までチェックしたい。ちょっとおかしいなと思うことまで洗いざらい出してもらうようにしていきたい」と説明した。
 JA組織の体質についても意見が出た。「合併で組織が大きくなって、職員の中には保身と組織を守ろうとする小役人みたいな人が増えた。そうした官僚的組織の中では〈これはちょっとおかしい〉と思う人がいても、その意見は貫けない。それよりも売り上げを増やして組織を守ろうということになってしまう。そうした根性は研修会開催や改善委員会設置では直らない」という大規模JAに対する痛烈な課題の提起だった。 全中は今秋のJA全国大会議案を検討しているが、この日の委員会では、そのポイントを説明した。議案の目玉には、JAグループが輸入農産物を取り扱わないという運動提起がある。
 これについて「JAは輸入品を扱わない、JAブランドを前面に据えるという方向には賛成だが(現在、輸入に頼っている)穀物類などはどうするのか」などの疑問が出て、検討課題は多いとの説明があった。
 小島座長は「供給品目の品ぞろえをするためには輸入品が不可欠だが(スーパーなどに)どう説明していくかの説明責任が必要となる」と指摘した。また問題化したお茶の産地表示を例に挙げ、よその産地の茶葉を混ぜる業界の慣習は消費者にもかなり知られているという点にも触れた。
 農水省の「農協のあり方研究会」は3月末までに議論をまとめるが、これをにらみながら、全中としては次回の経済事業刷新委員会に全国大会議案の検討状況を報告する。



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