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食糧法改正案 審議入り
−野党 本格的所得保障策求める (5/20)

 「米政策改革大綱」に基づき、国による生産調整面積の配分廃止や計画流通制度の撤廃などを盛り込んだ食糧法改正案が5月20日、国会で審議入りした。
 この日は衆議院本会議で亀井善之農相が法案の趣旨説明を行った後、民主党・無所属クラブの筒井信隆議員が民主党案の説明とともに農相に質問した。
 筒井氏は、生産者団体が主体的に生産調整に取り組むことや米の流通規制を廃止するなどの方向には基本的には賛成だとしながらも、農業団体が策定する生産調整計画を国が認定することや、参加者に限定してメリット措置を講じるなど「国の関与が中途半端。自主的な生産調整というが計画達成はむずかしく、米価は大幅に下がる。農業は崩壊する」と指摘し、「本格的な所得保障を行うべき」と主張した。
 筒井氏が示した案は、都府県では個別経営で1ヘクタール以上、集落営農で5ヘクタール以上を対象に所得保障策を導入。その場合、予算規模は1兆以上となるが、財源は生産調整関連助成金2900億円(14年度予算額)、WTO協定の削減対象となっている「黄」の政策分7000億円のほか、農林公共事業予算を当てれば実現できると主張した。
 これに対して亀井農相は、筒井氏案は現状の農業構造が固定化され、構造改革に支障を来すおそれがあることや需要に応じた生産など主体的な経営が阻害されることが考えられるとして、「産地づくり推進交付金」、「担い手経営安定対策」、「過剰米短期融資制度」の3つの政策を「1つのパッケージとして改革を進めることが適切」と答弁した。
 また、過剰米短期融資制度の融資単価について筒井氏は「60kg8000円、あるいは市場価格の8割とすべき」と迫ったのに対し亀井農相は「新規加工用、飼料用を基準にすることが適切」と述べ60kg3000円水準が基本となることを示唆した。
 そのほか筒井氏は、政府備蓄について「玄米で100万トン以下と、なぜ今までよりも減量させるのか。危機管理だけでなく需給調整機能も付与し、モミで300万トン以上にすべき。加工用、援助用、バイオマス資源として活用し棚上げ備蓄とすべきだ」と主張した。
 これに対して亀井農相は、財政負担がかさむことや、需要に応じた米づくりに支障を来すことなどを理由に現行の回転備蓄方式を継続する考えを示した。 (2003.5.22)


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