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総額3000億円を確保―水田農業構造改革対策決める (7/25)   

 自民党は7月25日、総合農政・農林・農業基本政策小委員会合同会議で米政策改革大綱の具体化に向けた水田農業構造改革対策を決めた。
 対策の基本的考え方として「水田農業の構造改革の加速化の観点に立って施策体系を構築」するとして、16年度の水田農業関係予算として関連対策も含め総額で3000億円以上を確保する。農水省はこれを受けて8月に来年度の概算要求を行う。
 予算額は、(1)産地づくり対策1755億円、(2)稲作所得基盤確保対策502億円、(3)担い手経営安定対策102億円、(4)集荷円滑化対策175億円で、この4つの柱で15年度の水田農業確立助成金など2433億円に100億円増額した2534億円となる。このほか農地流動化対策、米輸出の促進、水利施設維持管理対策、バイオマス対策などの関連対策を含め総額で3000億円以上とする。

◆畑地化推進も導入

 「産地づくり対策」は16年度から3年間の対策期間中、一定の交付額となる。
 同対策で麦・大豆・飼料作物の本作化に取り組んだ場合、基本部分(10アール1万円)、担い手加算(同4万円)、3階部分(麦・大豆の品質向上対策、耕畜連携推進対策、同1万3000円)を合わせると6万3000円となり現行水準を維持することになる。
 また、特別調整促進加算も実施する。これは(1)目標の1割以上など生産調整の超過達成、(2)麦・大豆・飼料作物以外の担い手の育成に資するなど都道府県知事が定めるもの、をガイドラインとし総額で50億円を計上。10アールあたり1万2000円の助成額とする方向となっている。
 このほか今回の対策では畑地化の推進への助成策も盛り込まれた。国は10アールあたり8万円を助成。地方も同額以上を助成することとし、合わせて16万円となる。
 産地づくり対策の2階部分の担い手加算は、平成22年に担い手が6割を占めるという構造展望の実現を前提に、対策期間の最終年である18年度の担い手割合の目標を設定して予算額を算定。目標設定率は、麦・大豆・飼料作物では56%、その他の一般作物は32%とした。

◆固定部分は60キロ300円

 米価下落影響緩和対策から稲作所得基盤確保対策に名称を変えた米価変動に対する対策では、当年産価格の水準に関係なく支払われる固定部分を60キロ300円として全額国費負担とした。
 また、価格変動への対策部分は、基準価格を「直近3年平均」とし、当年産価格との差額の5割を補てんすることとした。生産者と政府の拠出比率は1対1。
 同対策では、米価の下落幅が大きければ固定部分と変動部分を合わせて補てんしても十分な額にならないケースが考えられる一方、固定部分があるため下げ幅が小さければ基準価格を上回るケースもある。また、当年産価格が基準価格を上回っても固定部分は支払われる。この対策による交付対象限度数量は430万トンとされた。
 ただ、麦・大豆の本作化など生産調整に意欲的に取り組む地域は、この対策の交付金を産地づくり対策に充てることが可能となっている。

◆担い手要件 中山間の集落営農は10ヘクタールに

 担い手経営安定対策は、基準収入を直近3年平均の稲作収入とし、その差額の9割を補てんする。拠出割合は、JAグループが主張してきた生産者1、政府3となった。
 対象者の水田経営規模要件は、認定農業者が都府県で4ヘクタール、北海道で10ヘクタール。集落営農は20ヘクタールが基本だ。ただ、知事の特認で地域条件などによって基本原則の8割まで、中山間地域では5割まで引き下げることを可能とした。
 この緩和措置によって、集落営農の場合、都府県では16ヘクタール以上、中山間地域では10ヘクタール以上を同対策の対象とすることができる。

◆過剰米 集荷や保管に助成

 過剰米短期融資制度から集荷円滑化対策に名称を変えた豊作時の過剰米対策は、融資単価を60キロ3000円とし、生産者からの拠出金3000円を加える。そのほか過剰米の集荷を促進するため集荷奨励金を60キロ1000円、保管料等経費助成(2分の1助成相当)同1000円を計上した。
 このほか対策で決まったのは16年産の生産目標数量を838万トンとすることと、8・9産政府在庫53万トンの処理。約1600億円の処理費用を予算にどう盛り込むかは概算要求までに決める。農水省としては、今のところ単年度で総額3000億円となる米対策予算の枠内に単年度分の在庫処理経費を盛り込む方針だ。  (2003.7.25)



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