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時代の変化と現場ニーズに応えた研究成果を発表
――第8回営農・技術センター研究報告会in大手町  (10/28)

 JA全農営農・技術センターは、技術交流の促進と業務間の相互理解、技術水準の向上を目的に毎年2回、「営農・技術センター研究・業務発表会」を、今年8月までに48回開催しているが、このなかから時代の変化と現場ニーズに対応していて、事業化、重要度の高いテーマを選定、JAビル(東京・大手町)で「営農・技術センター研究報告会in大手町」を開催している。8回目となる今年は10月28日に3月と8月の「研究・業務発表会」10テーマから次の3テーマが報告された。

 【米のDNA判別法】

消費者や量販店などから正確な表示による流通が求められている米の品種判別をDNA(遺伝子)レベルで判定する「米1粒からの品種判別技術の取り組み」(生産システム研究室)。現在、コシヒカリ、ひとめぼれ、あきたこまちの3品種について判別法を確立し、試験レベルでは48品種の判別が可能だという。米の品種判別には、公定法がなく判別法も多様化しているが、同一品種でもDNAにバラつきがあり、そうしたデータをどれだけ把握しているかで判別結果に誤差がでる可能性がある。そのため、今年春には、コシヒカリの場合、同一県内の複数産地から35検体(28府県)を集め、データを蓄積している。
 同研究室の判別法では、籾・玄米・精米・炊飯のいずれからでも品種判別ができ、しかも低コストだ。

 【残留農薬試験の精度管理】

 農産物・食品検査室(残留農薬検査グループ)は「より信頼性の高い検査分析データの提供をめざして」と題して「ISO/IEC17025(試験所認定制度における国際的な認定基準、13年4月に認定取得)運用における精度管理」について報告。精度管理とは「分析法の信頼性を日常的に保証する方法」のこと。
 同検査室では試験と併行して行った測定値から分析値を評価する「内部精度管理」、外部分析機関との試験所間試験や海外のFAPAS(英国農業水産食料省の独立行政法人・中央科学試験所が実施)の公開技能試験プログラムに参加する「外部精度管理」などを実施し、分析機関の生命ともいえる分析値の精確さ、信頼性を高める努力を日常的に行っている。

挨拶する北本孝也全農常務
挨拶する北本孝也全農常務

 【青果物の品質低下を防ぐエチレン除去】

 青果物流通で品質を低下させる一つの要素であるエチレンの除去材の性能評価と使用方法を分析した「青果物流通の変化とエチレン除去」について生産資材研究室が報告。エチレン除去にはさまざまな手法の製品や装置が利用されているが、それらの分解・除去性能を実験し、その利点と課題を明らかにし、流通各段階での有効なエチレン除去法を提示した。この試験によって一部量販店で販売されていた「やさシート」が抗菌性については効果があってもエチレン除去にはほとんど効果がないことも明らかになった。
 開会の挨拶で北本孝也全農常務は「生産技術の研究・開発は経済事業改革の重要な柱」と位置づけたが、こうした地道な努力がこれからのJAグループを支える大きな力となることは間違いないことであり、育てていかなければいけない大切な芽だといえよう。  (2003.10.31)


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