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目標年度は27年 新基本計画−直接支払い導入視野に農政転換へ (1/30)

 農水省は1月30日に開かれた食料・農業・農村政策審議会第3回企画部会に新基本計画に関する同省の基本的な検討方針を議論の素材として提供した。
 基本計画の計画期間は目標年度を27年度とする方針を示した。現行基本計画は22年度を目標としているが、今回は農政の抜本的な見直しとなるため、政策の転換とその評価に10年程度が必要と判断した。
 基本計画には食料自給率目標が掲げられているが、新計画では食料自給率目標以外にも担い手像、農業構造などについても目標を記述するという。また、自給率向上には食生活の改善も必要なことをより明確化する。
 そのほか、現行基本計画では構造展望について、そのめざす方向性の記述がないことから、方向性を明記して、施策の集中化・重点化を行う指針とする。
 検討の主要課題のひとつである「品目横断的な政策」については、畑作と水田作での「プロ農業経営」が対象。「プロ農業経営」について、今のところ「効率的かつ安定的な経営」と農水省は説明しているが、具体的な定義も検討課題だ。ただし、国が支援を集中させる以上、国民の理解が得られるよう高いハードルを設置すべきとする。
 畑作・水田作への支援策として、経営安定対策としての収入・所得の変動による影響緩和策とともに、「諸外国との生産条件の格差是正」をあげた。生産条件の格差の捉え方が今後の検討課題だが、格差を埋める直接支払い制度が念頭にある。
 政策転換にともなって転換後の政策と重複する現行の品目別対策は廃止する方針だ。
 また、野菜、果樹、畜産の経営については、部門専業的経営が多いことから品目横断対策への転換ではなく、安全・安心対策、生産性向上対策に重点化することで競争力を高める方針。収入・所得変動対策は、既存の品目別制度の見直しで対応する。

■農地を社会的共通資本として

 もうひとつの主要課題である「農業環境・資源保全政策」は、プロ農業経営による効率的農業の展開と、食料供給基盤の維持、多面的機能の発揮を両立させるための施策として導入する。農地や農業用水が、国民全体に便益が波及する「社会的共通資本」として施策を構築する考えを示した。
 環境や農地、農業用水などの保全が地域の共同活動で行われていることを基本に都市住民の参画のあり方も考える。また、環境を重視した農業への転換も課題とする。
 具体的な施策として、こうした活動に対する支援を直接支払いで行うことを視野に入れている。中山間地域直接支払い制度や構造政策の推進との関係も検討課題とする。
 3つめの主要課題の「担い手・農地制度」では、「意欲と能力のある担い手」と多様な担い手を確保するため、参入規制の見直しや、担い手への農地利用集積などが課題。農業参入規制に見直しについては「たとえば、都市から通いながら菜園を楽しむという農地へのニーズに対応するもの」と株式会社などの参入を念頭に置いたものではないことを強調している。ただし、リース方式による株式会社参入を認めた構造改革特区の全国展開は、実施状況をふまえる必要があるとしながらも、検討項目に掲げた。
 2月から3月にかけて、この主要3課題について企画部会で議論。その後、論点整理を行い7月に中間報告をまとめる。 (2004.2.3)



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