農業協同組合新聞 JACOM
   

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人体への感染予防策で成果
鳥インフルエンザ緊急研究 (5/27)

 ベトナムでは人間が鳥インフルエンザに感染し、死亡しているが、これを予防する緊急調査研究を急いでいた独立行政法人の動物衛生研究所などがワクチン候補株の作製や、遺伝子検出キットの開発に成功したと5月27日発表した。農水、文科、厚労、環境の4省連携による研究で、臨床的に早期診断するための「診断基準案」と「治療予防マニュアル案」も策定した。
 ワクチンでは、日本で今回流行したウイルスを分離し、これを弱毒化してワクチン候補株を作製した。
 ウイルス検査法については、ベトナムの患者検体を用いて特定の検査系を構築し、また感度が高くて簡易にウイルス遺伝子を検出できるキットを開発した。
 さらにヒトのA型インフルエンザウイルス(H5N1)の感染症例を文献的に検討、あわせてベトナムでの実地調査の結果を分析して診断基準案と治療予防マニュアル案を策定した。

■カラスは高感受性

 ヒトの場合の症状は、一般的な急性呼吸器感染症と見分けが難しいことから、そのヒトの鳥との接触歴や「A型インフルエンザ迅速診断キット」を併用、疑い例を絞り込んだ上でウイルス分離などの確定診断をするのが現実的だという。
 一方、疫学研究でも成果を挙げ、日本の分離ウイルスは、韓国のそれと極めて近い同一遺伝子型で、タイやベトナムとは遺伝的に異なる型であると明らかにした。また山口、大分、京都の3府県で野鳥を検査したが、すべて陰性だった。
 韓国の発生地から日本にくる可能性のある渡り鳥としては9目20科67種と絞り込んだ。
 病原性解析では、日本のウイルスはニワトリに感染すれば100%死亡させる毒力を持っていた。またカラスやムクドリなどはウイルスに高感受性であることも明らかにした。

(2004.5.28)


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