農業協同組合新聞 JACOM
   
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重要品目の扱い「ルール化」を改めて強調
−G10の閣僚声明 (7/5)


 日本、スイス、ノルウェーなど食料輸入国でつくる10か国グループ(G10)は7月5日、ジュネーブで閣僚会合を開きコミュニケを発表した。日本からは亀井農相が出席した。
 焦点となっている重要品目について閣僚コミュニケでは△重要品目は「例外扱い」ではなく「枠組みの不可欠な部分(柔軟性ボックス)」として組み込む(例外ではなくルールとして規定)、△重要品目の割合は十分に確保しそれぞれの国が自由に品目選択、△関税削減についてはウルグアイ・ラウンド方式(平均削減率と最低削減率の組み合わせ)を含めて十分に柔軟な方式とする、と主張している。
 また、この柔軟性ボックス以外の関税削減方式については「スイス方式(一律削減)を含まない階層方式」は検討できるとしている。
 上限関税の設定と関税割当の義務的な拡大にはこれまでどおり反対し、関税割当の拡大については「ケースバイケース」で議論する必要があると提案している。ただし、重要品目についても必ず関税割当の拡大をともなうというルールには明確に反対の姿勢だ。

■代償措置に反対

 日本をはじめとしたG10諸国の今回の提案は、重要品目の扱いを枠組みのなかに「柔軟性ボックス」として位置づけることを改めて主張したものだ。
 6月の農業委員会特別会合の議論では、輸出国も含め重要品目の扱いを考慮することには加盟国の合意が得られつつある。しかし、輸出国はあくまで「例外」とすべきとの立場。「例外」扱いとする品目については「無制限の代償が前提となる」(農水省)と各国で理解されている。
 そのため日本などG10諸国は、食料安全保障や農業の多面的機能の重要性から、重要品目の扱いを「ルール化」して代償措置を伴わない方式とすることを主張している。
 また、閣僚コミュニケではG10諸国に人口は世界人口の4%を占めるのにすぎないのに農産物輸入額では13%を占めることを訴えすでに世界の農産物貿易拡大に貢献していることを指摘した。
 そのほか、輸出競争と国内支持の規律については、「それ自体、市場アクセスの改善」という観点から全体の枠組みのなかで考慮すべきとしている。
 
■G10 密接な協力を確認

 閣僚会合後、グローサー農業委員会議長と会談。亀井農相は各国・各グループの公平な参加による交渉の運営確保を要請し、枠組み合意は「柔軟性」と「バランス」が鍵であり、非貿易的関心事項が適切に位置づけられることが必要だと強調。グローサー議長は「G10の立場は十分承知している」などと述べたという。
 また、亀井農相は現地での共同記者会見で重要品目の割合は「関税対象農産物の30%程度」と説明、スイス、ノルウェーの閣僚も同様の認識を示した。重要品目数について具体的な数字を挙げたのは初めてで今後の交渉が注目される。
 WTO農業交渉ではこのほか各グループの会合などが行われる予定。G10は今回の閣僚会合で密接な協力と、他のグループとの継続的な対話の必要性も確認した。次回の農業委員会特別会合は7月13日から。7月末の枠組み合意に向けて会合前にグローサー議長案が提出される見込みとなっているが、日本もG10の提案が反映されるよう働きかけていく。 (2004.7.7)



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