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農業資材店の今後を考えるシンポ開催(4/13)

 4月13日、東京・大手町JAビルで 「農業資材のコストダウンを考える」 と題したシンポジウムが開かれた(船井総合研究所主催)。参加したのはJAグループ関係者のほか、メーカー、商社、生産資材店経営者ら約60人。

 農業生産資材費の低減は農業の低コスト化に不可欠だが、シンポジウムでは販売業界の生き残り策がテーマとなった。農業資材のセルフ販売店 「農家の店しんしん」 を全国22店舗で展開する玉造和男氏は、「ホームセンターが農業資材まで品揃えし低価格販売に乗り出している」 と現状を指摘し 「価格だけの競争からいかに脱却するかが課題」 と強調した。そのためには、農家が、専業、兼業、新規就農、家庭菜園的農家などに多様化していることに着目し 「たとえば、プロ以外の農家にターゲットを絞り、単に肥料を販売するだけでなく施肥も請け負うという需要者に近づくサービスまで開発すべき」 などと提案。帰農農家の増加という傾向もビジネスチャンスにできるよう 「多重化サービス産業としての農業資材店への変身」 が必要だという。

 パネリストには、JA全農が取り組んでいる生産資材の小売店舗 「JAグリーン」 の推進を担当しているJA全農資材・農機部の駒谷行雄審査役も出席。JAグリーンは現在全国で54店舗、101億円の売り上げ実績がある。

 駒谷氏は 「農協組織はこれまで組合員からの予約を積み上げメーカーと交渉するという委託購買を事業の柱としてきた。運動論としてはそれも重要だが、組合員が必要なときに求める資材がしっかり用意されている店舗事業も今後は柱になる」 と話し、予約商品については計画的な配送、当用買い商品については 「店舗に買いに来てもらう体制をつくるべき。そのために予約と当用買いでは価格差もつけるなど工夫も必要になる」 などと指摘した。

 また、ディスカウントショップなどの安売り競争に対抗するためには、商品情報をいかに提供するかが課題で、「農協の職員であれば、栽培技術についても詳しい。そういう情報提供をサービスにすれば地域住民からも喜ばれ、農協があってよかったと受け止められる」 とJAの持つ専門性を発揮すべきことを強調した。

 農業生産資材費の低減は新基本法にも盛り込まれ、基本計画でも 「安価な製品の開発、普及等による生産、流通及び利用の合理化の促進等の施策を講じる」 とされており、行政の課題としても明確に位置づけられている。すでにJAグループも生産資材費用低減運動にきているが、国も 「農業生産資材問題検討会」 を3月に再開、さらに取り組みを進めるために今年度中に改定行動計画を策定する予定だ。


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