農業協同組合新聞 JACOM
 
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コラム
つくば山麓 野良だより

“また新しい仲間が増えた!”

 寝苦しい夜と、明け方のヒグラシやツクツクボウシの「うるさい目覚まし」は毎年8月の風物詩である。しかし今年の夏は毎晩布団をかけ、朝はセミも鳴かない。まさに異常気象である。低温と長雨、出穂期に台風にもまれ、ほとんどお天道様を拝んでいない水稲がどんな収穫をもたらしてくれるのか。早くも米や野菜の値段が上がっているとも聞く。あの10年前の「米騒動」を思い出してしまう。
 そんな折り、我々の『グリーンサミット大和』恒例の“暑気払い”が盛大に開かれた。25名の会員のほとんどいつも全員参加だ。それもそのはず、20代〜50代前半の村の農業を担う仲間が一同に会し、酒を酌み交わしながら地域の農業や自分の経営について、とことん本音で語り合える場だからだ(もちろん綺麗なコンパニオンさんも当然!同席だが…)。この時ばかりは先輩・後輩無礼講だ。
 かつて「白菜御殿」が建ったこともあるこの県西地域も、今では輸入農産物や食品の安全性の問題等で新たな試練の時を迎えている。みんな、これまでの経営では生き残れないから経費を削減したり、新たな品目や取引に挑戦しようとしている。また、我々40代〜50代のメンバーにとって切実なテーマは後継者問題だ。若者が安心して誇りを持って営めるような農業でなければならない。高校や大学に通う師弟が農業を継いでくれるかどうか…は死活問題である。そして、今年も千葉県でサラリーマンをしていた青年がUターンして花作りを始め、サミット会員が増えた。
 先日仲間と、毎日新聞主催の全国農業コンクール全国大会の発表を聞く機会を得た。いずれもさすが全国から選抜された農業者20名のつわもので、本当に新鮮な感動を覚えた。3点だけに絞るとすれば、(1)ほとんどが後継ぎを育てていること、(2)法人化しながらも家族経営をしっかり基本に据え、優れた経営分析能力があること、そして何よりも(3)自らの農業経営を個人だけの利益ではなく、そこに住む地域の皆さんを巻き込んだ形で発展させているという姿勢に感銘を受けた。
 農村地域では昔から『隣りに蔵が建てば腹が立つ』と言われている。他の産地が冷害や不作で苦しむ姿を見て喜んでいるような農民にはなりたくない。大和村に頼もしいグリーンサミット会員がまた一人増えた頃、我が家でも、北海道の農業専門学校に行っていた息子(21歳)が卒業を待たずに帰郷。今、家族農業の一翼を担い始めた。そして一方では職を失って途方にくれる方たちが増えているのも現実である。(茨城県大和村在住 農業)(野沢 博)
(2003.9.4)

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