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農産物流通を変える −ファーマーズ・マーケット (5/10)


(社)JA総合研究所は5月10日にファーマーズ・マーケットに関わるJA関係者らを集めたファーマーズ・マーケット・サミットと公開シンポジウムを開いた。同研究所が事務局となっているファーマーズ・マーケット戦略研究会の会員のほか今後、出店を予定しているJAなど関係者約100人が参加し今後の課題を話し合った。
 JA総合研究所の山本雅之常務は、生産者自ら売り場に持ち込み消費者へ直接販売するファーマーズ・マーケットの設置、運営は「市場流通だけに頼らない流通ルートを開拓すること」であり、価格で輸入農産物に対抗しても生産者手取りが確保できる事業だと強調した。市場流通の販売手数料より高いためJA経済事業改革の起爆剤にもなる。
 野菜の場合、現在、国内生産額は約2兆円でそのうち市場流通は約1兆6000億円。市場外流通は4000億円で、うちファーマーズ・マーケットや直売所での販売額は1000億円程度。そのほか4000億円程度の輸入野菜市場があるがこれをファーマーズ・マーケットなどで奪い返し国産野菜の4割の5000億円市場にすることが目標だとした。目標を達成すると手数料率15%のファーマーズ・マーケットからJAは市場出荷よりも大幅な粗利を得ることができ「経営改善効果も生み出す」とした。
 そのためには、「作ったものを売るから、売れるものを作る、への意識転換」がもっとも重要となる。その際、地産地消がベースとなるファーマーズ・マーケットでは品目ごとの地域自給率が生産すべき品目の目安となる。品目ごとに地域内生産量と消費量を分析し、自給率が高いものを生産すれば売れ残りとなり、低いものほど売れ筋品となると考えるべきだという。
 また、今後の課題としてはポジティブリスト制度の実施に対応するため、品目ごとに小型のパイプハウスを設置して栽培するなど農薬飛散防止を考えなければならないことや、生産者を維持、増加させるため店舗のファンとなった消費者をも生産者へと育成するなど地域農業の生産基盤づくりもテーマとなってくるなどの問題を指摘した。
 パネリストとして参加したファーマーズ・マーケットを運営するJAの組合長らからは、女性、高齢者が元気になったことが地域に大きな影響を与えていることを指摘する声や、量販店と違って地域の食文化の伝承、環境保全などの重要性を消費者に伝え組織化していくことの課題などの声があった。

(2006.5.15)



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