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国産畜産物の危機的現状に理解求め、記者懇談会実施
−JA全中・全農 (2/6)


 JA全中・全農は2月6日、JAビルで国産畜産物の危機的現状に理解を求めるため、記者懇談会を開催した。
 全中の冨士重夫常務は挨拶で「穀物がエネルギーとの間で、また国家間での争奪戦になっている。農地には限りがあり、穀物価格全体が大幅上昇し、さらに船賃も高騰している。配合飼料価格安定制度の財源には限りがある。食料品価格の値上げによる価格転嫁がないとやっていけないので、消費者の理解を得たい」と畜産、酪農生産者の置かれている厳しい状況に理解を求めた。
 全中の馬場利彦農業対策部長が国産畜産物の危機的状況とJAグループの取り組みについて説明、「国産食肉、卵、牛乳製品の重要性や価格について再認識してもらい、消費拡大に理解を得たい」と強調した。
 全農の西馬場茂参事は、全農の取り組みについて、「生産コスト削減努力に加え、畜産物販売先の量販店などの消費拡大につとめながら、販売先との価格交渉で値上げを求めている」と説明した。具体的には、今年1月から子会社のJAミートフーズ(株)と首都圏のスーパーなどで「国産農産物消費拡大キャンペーンを展開してきた。今後、3月までに関東から九州地区まで約1000店舗で同様のキャンペーンを実施する。また、2月9日(土)12時〜16時まで「ニクの日」と銘打ち、東京・新宿の新宿ステーションスクエアで全農主催の街頭活動のイベントを行うことを紹介した。
 当日は、大相撲元力士舞の海が国産肉をふんだんに使った”特製ちゃんこ”をふるまったり、東北・関東・甲信越地区の畜産農家200名が畜産農家を代表してアピールする。
                            
 エタノール需要の急増などにより、とうもろこしなどの飼料価格が世界的に上昇。オーストラリアの干ばつ、中国やブラジル、インドなどの急速な経済成長による食料需要の増大なども国際的な穀物需給のひっ迫、穀物価格押し上げの要因となっている。畜産農家とJAグループのコスト低減努力も限界に達し、国内の畜産農家の廃業が相次いでいる。
 このままでは国産畜産物の供給が大きく減少しかねない状況だが、海外ではコスト上昇が消費者価格に転嫁され、肉類、卵、乳製品などの畜産物価格の高騰は世界的な傾向になっている。
 わが国でも、小売価格値上げにより消費者にもコスト上昇分の一部負担をしてもらわざるを得ない、としてメディア側の理解を訴え、懇談会を開催したもの。
 質疑では、乳価交渉で生乳価格の引き上げが決まったが、これ以上の引き上げはないのか。卵のような相場商品はどのようにして価格を引き上げるのか。飼料用米はとうもろこしより高いが、どのように利用拡大をはかるのか。配合飼料価格安定制度の積立金を農家は続けられるのか、などの質問があった。
 米国通信社からは、アメリカでは末端価格を引き上げているのに、日本ではなぜ上げられないのか。政府に対する要望は、と質問が出ていた。

(2008.2.7)

 

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