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畜酪対策の政策提案を決定
抜本的な経営安定対策求める −JA全中 (2/6)


 JA全中は2月6日の理事会で20年度畜産・酪農対策に関する政策提案を決めた。飼料価格が急騰を続けるなか、生産現場では徹底的なコスト削減努力をしてもすでに努力の限界を超え、わが国の畜産・酪農は存続の危機にあるとの認識から、抜本的な経営安定対策の確立を求めている。
 政策提案の柱は、危機的な状況をふまえ「すべての政策価格の引き上げ」と現行の畜種別経営安定対策の「抜本的な見直し」だ。
 また、国産畜産物に対して生産コストに見合った適正な価格転嫁が行われなければ再生産が不可能なことから、これまでにはない生産提案として、消費者への理解醸成と価格転嫁できる体制を整備するよう求めている。
 肉用牛対策では、飼料価格の高騰で、たとえば乳用種では粗収益が物財費を割り込んでいることから、生産コスト上昇に対する所得補てんの拡充など肉用牛肥育経営安定対策事業の充実・強化をはかることなどを求めている。また、肉用牛の生産基盤の強化対策として、子取り用雌牛飼養頭数の増加をさらにはかるために肉用牛繁殖基盤強化総合対策の充実・強化も求めている。
 酪農対策では、加工原料乳地帯の再生産の確保ができるよう高騰した飼料価格など生産費増を適切に反映した補給金単価の引き上げと、現行を基本とした限度数量の適切な設定を要求している。
 また、都府県でも総合乳価が3月から1kgあたり約3円引き上げられるが酪農経営は悪化しており、飲用乳には制度として経営安定対策がないことから、自給飼料増産、飼養管理の改善、生乳需給の改善などに取り組んだ生産者に対して、経営・所得確保のための特別対策が必要なことも強調している。
 養豚対策でも生産コストの上昇に対応できる経営支援策として、地域肉豚生産安定基金造成事業を充実・強化することを求めている。
 一方、配合飼料対策では、飼料価格高騰に対する生産者への通常補てん金支払いの万全の対策と、飼料原料価格高騰に対する異常ほてん金(国と配合飼料メーカーの拠出)からの借り入れに対する利子助成、借入金の償還対策を求めた。また、配合飼料価格が高止まりした場合にそなえ、現行の価格安定制度の抜本的な見直しを早急の検討することも提案した。
 そのほか、安全・安心対策では、消費者への情報提供強化のために、外食・加工食品の原料原産地表示の義務化に向けて対策を進めることも求めている。
 JAグループはこうした政策提案を実現するために2月15日に東京で要請集会を開く予定。20年度畜酪対策は2月21日に決定する見込みだ。

(2008.2.12)

 

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