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今後の環境保全型農業のあり方、3月にまとめる −農水省の検討会


 農水省生産局長の私的諮問機関として昨年10月設置された「今後の環境保全型農業に関する検討会」(座長:熊澤喜久雄東京大学名誉教授)は、2月13日第6回目の検討会を開き、3月中旬にまとめる中間とりまとめに向けた論点整理についての農水省事務局案について検討した。
 環境保全型農業の位置づけが明確にされたのは、平成6年4月、農水省に環境保全型農業推進本部が設置されてから。環境保全型農業への取り組みの推進が、農業・農村の持つ国土・環境保全機能の維持、増進につながり、同時に消費者・生産者の交流を通じた地域の活性化にも役立つとされた。
 これに呼応する形で同時期に、生産者・団体、消費者・団体、食品産業、学識経験者、行政機関などで環境保全型農業を推進するための全国環境保全型農業推進会議(事務局:全中、日生協、農水省)が結成された。
 農水省の検討会は、今後化学肥料や化学合成農薬の低減などによる負荷低減だけでなく、地球温暖化の防止や生態系の保全などに積極的に貢献し、農業が持つ環境保全機能をさらに向上させる観点から、環境保全型農業の位置づけや国の施策のあり方を、現代にふさわしいものにして行くのがねらいだ。
 論点の整理は、今後の環境保全型農業推進の基本的考え方(位置づけ、取り組み目標の設定、進め方)とそれを受けた施策のあり方(技術の開発・普及、営農活動に対する支援、基準の作成、など)の2本柱でまとめる。
 環境保全型農業の位置づけとしては、農業の持つ物質循環機能を生かし、土づくりを通じて化学肥料、農薬の使用による環境負荷を軽減し、持続的農業をめざすこととしている。また、安全で良質な農産物に対する消費者の需要が増大しているため、環境保全型農業がこうした需要に対応した農産物を供給できるようにすることを明示すべきとしている。
 取り組みの目標は、環境保全型農業取り組み農家数や面積を設定したり、たい肥、化学肥料、農薬の施用量の指標を示すことなどが例としてあげられた。環境保全型農業の進め方については、全ての農業生産活動を、環境保全を重視したものにしていくことを基本にするとしている。
 施策のあり方については、環境保全型農業技術の開発や普及、技術の体系化、マニュアル化が必要で、これまでの各地での取り組み事例も参考になるとした。技術普及には、普及組織とあわせてJAのOBなど民間の技術者の活用をはかることを提案。また、情報サイトによる情報の共有化も必要とされた。
 環境保全型農業の取り組みにより生産された農産物であることを表示することで、消費者に対して的確な情報提供を行い、コストに見合った価格での取引を推進すべきで、こうした農産物を購入することにより、消費者自体も環境保全に貢献することをPRすべきとしている。
 営農活動への支援も重要で、稲わらすき込みから耕畜連携によるたい肥施用への転換、不耕起・冬期湛水など環境保全機能の向上に一定の効果が期待される取り組みについては、モデル地区に対する支援をしながら全国的に広げて行くことが必要だ、などとしている。
 論点整理は次回(第7回=2月25日)にも行い、3月12日(第8回)に中間とりまとめを行う予定。

(2008.2.14)

 

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