農業協同組合新聞 JACOM
   
特集 本紙調査「大規模農家と生産法人の経営状況とJAグループに対する意識調査」

本紙調査、結果まとまる(2)

農業生産法人のJA購買事業への期待

品質・品揃えは魅力 商品情報・アフターケアの充実が課題


 本紙は昨年12月に農業生産法人を対象にした『大規模農家と生産法人の経営状況とJAグループに対する意識調査』を実施、このほど調査報告をまとめた。前号では調査回答法人の概要とJA販売事業の利用面の実態と課題、新基本計画への関心度を中心に、報告書の内容を紹介したが、今号では生産資材関係の利用面と法人の経営継承についての分析を紹介する。

◆肥料・農薬で高いJA利用率 【資材購入先】

 肥料、農薬、農業機械、園芸用施設の4品目について、購入先の構成を金額ベースでみたものが図1である。肥料および農薬ではJAからの購入割合が5割を超えており、残りの大部分は資材流通業者が供給している。ホームセンターやメーカーのシェアはかなり低い。
 これに対して農業機械および園芸用施設では、JAからの購入割合が4割を切り、メーカーからの直接購入も多い。園芸用施設では資材流通業者からの購入が多く、JAからの購入を上回っている。
 表1は資材の購入先を決定するにあたり重視する点を尋ねた結果である。すべての品目で価格への関心が高い。また固定資産である農業機械、園芸用施設ではアフターケアが重視されるのに対し、消耗品である肥料、農薬では決済時期や配送サービスが重視される。

◆大規模は価格・決済時期、小規模は品揃え・人間関係を重視 【購入先構成とその選択理由】

 肥料と農薬の購入額による購入先の違いをみていく。肥料(図2)では購入額の大きい500万円以上法人で、JAからの購入割合が小さく、ほぼ資材流通業者からの購入と拮抗している。これとは逆に、農薬(図3)では購入額の大きい階層でJAからの購入割合が高く、資材流通業者からの購入割合が低いのが特徴である。
 購入先の選択で重視する点に関しては、購入額の大きい階層で「価格」「決済時期」への回答が多く、購入額の小さい階層で「品揃え」「人間関係」が多いことが両品目に共通する特徴となっている。このほかには、「商品情報」の回答が、肥料では購入額の大きい階層、農薬では逆に購入額の小さい階層に多いこと、また農薬では購入額の大きい階層に「品質」を挙げる回答が多いことも特徴として挙げられる(表2)。

◆品質・品揃えでJAを利用 【JA資材購買事業の利用】

 JAの事業の魅力を示す指標として事業利用率を用い、資材購買事業の課題を探っていきたい。表3は肥料と農薬を取り上げ、JA利用率により購入先選択で重視する点がどのように異なるかをみたものである。いずれもJA利用率が高い法人で「品質」「品揃え」への回答が多く、これらがJA事業利用の魅力であることを示す。逆に弱点とみられるのは「価格」「商品情報」「アフターケア」「配送サービス」である。
 購入先の選択でもっとも重視される「価格」(表1)が弱点であることは、これがJA利用率を大きく引き下げているであろうことを示す。またこれに次いで重視されている「品質」が魅力となっていることは、利用率の引き上げに比較的大きく寄与していることを意味する。
 以上の魅力と弱点を踏まえた上で、あらためて購入額別に購買活動をみてみる。
 肥料の場合、JA事業の弱点である「価格」「商品情報」の回答率が購入額の大きい法人で相対的に高く、魅力であるはずの「品揃え」の回答率が相対的に低い(表2)。肥料購入額の大きい法人でJAのシェアが小さい(図2)理由は、ここにあると考えられる。
 農薬も「価格」の回答率は購入額の大きい法人で相対的に高い。しかし「商品情報」の回答率が購入額の大きい法人で低い点は、肥料とは異なる特徴である。農薬の購入額別利用率は、肥料とは逆に購入額の大きい法人で高いが(図3)、この特徴が両品目で傾向が異なる理由の一つになっている可能性もある。

◆大規模ほど第3者経営継承を容認 【経営継承の考え方】

 経営継承の考え方を尋ねた結果が表4である。他経営への包括継承や解散・休眠を予定する経営者はほとんどなく、大部分の経営者は経営継承による法人の存続を望んでいる。
 経営継承の相手について、家族・世帯員であることを求める回答(「家族・親族でなければならない」「家族・親族が望ましい」)と、経営者能力を重視する回答(「従事者で有能な者」「能力があれば法人従事者でなくても可」)はほぼ同じ割合で存在する。家族・個人経営に限定すれば、家族・親族への継承を望む回答は6割近く、能力を重視する回答は約3割となる。それでも一般的な農業経営に比べれば、能力を重視する傾向はやはり強い。
 家族・親族以外の者への継承(以下「第3者経営継承」とする。)が容認される背景には、事業規模が大きく、要求される経営者能力の水準が高いために、能力がなければ運営できないことがある。実際に「第3者経営継承」を容認する考え方は、売上高が大きい法人に多くみられる。

(2005.8.4)



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