農業協同組合新聞 JACOM
   
特集 絆の強化と仲間づくりで活きいきとした地域づくりを

健康で安心して暮らせる環境づくりを支援
JA共済の社会貢献活動

介助犬の普及・支援も
介助犬の普及・支援も

 JA共済は「ひと・いえ・くるま」の総合保障を提供する共済事業を進める一方で、事故の未然防止や事故後の相互扶助活動にも積極的に取り組んできている。
 その内容は、交通事故対策活動、健康管理・増進活動、高齢者・身障者活動、災害救援から書道や交通安全ポスターコンクールなど多岐多様にわたっているが、その主なものを紹介する。

交通事故の防止

◆子どもと高齢者の交通事故防止は緊急の課題

 車は現代社会にとって必要不可欠なものだが、それにともなう交通事故は大きな社会問題ともなっている。
 警察庁によると17年に全国で発生した交通事故件数は93万3828件、それによる死者数6871人、負傷者数115万6633人となっている。交通事故による死者数は5年連続して減少し、昭和31年以来49年振りに7000人を下回った。また、2年連続して過去最悪を記録した発生件数と負傷者数は3年振りに減少したが、発生件数は6年連続して90万件を超え、負傷者数も7年連続して100万人を超えており、依然として深刻な事態にあるといえる。
 交通事故の最近の傾向として、生活道路での事故が多くなり、負傷者数も増加しているというデータもある。歩行中や自転車搭乗中に事故で亡くなった人は、交通事故死者数の約43%にのぼるが、その半数が自宅から500m以内で事故にあっており、その75%強が65歳以上の高齢者だ。65歳以上の高齢者の場合、死者の43%、重傷者の27%、軽傷者の10%を占めているが、死者と重傷者に占める割合が高いことと、重傷者数がこの10年間でみて増加傾向にあるといえる。
 歩行中に交通事故に遭い負傷した人は全体で8万3000人強だが、15歳以下の子どもと65歳以上の高齢者で全体の約半数にあたる49%を占めている。また、自転車搭乗中の事故による死傷者は全体で18万6000人だが、16〜24歳の3万9500人(21.4%)に次いで、15歳以下の子どもが3万8000人と全体の20.5%を占め、次いで65歳以上の高齢者が3万1000人(16.5%)となっている。

◆ミュージカルに参加して交通ルールを習得

 こうしたことを受けて警察庁は今年春の全国交通安全運動のテーマを「子どもと高齢者の交通事故防止」とした。
 JA共済では毎年、国が春と秋に実施する「全国一斉交通安全運動」への参加や、毎年7〜9月にかけて『JA共済全国一斉交通安全運動』などにも独自に取り組み、そのなかで、自治体や警察と連携して各県独自の交通安全教室や交通安全ポスターの配布など、地域の交通安全を進めている。各県で実施している交通安全教室には、毎年6万人前後の人が参加している。
 さらに、幼児と高齢者を事故から守るために、幼児向けに交通安全ミュージカル「魔法園児 マモルワタル」、高齢者向けに「交通安全教室」を行っている。
 親と子の交通安全ミュージカル「魔法園児 マモルワタル」は、幼児が被害者となる交通事故の約7割が道路横断中の事故であることから、幼児が正しい道路横断のルールや信号機の見かたを学べるよう観客参加型で実践的なストーリーが展開される。
 このミュージカルの特徴は、劇中に観客である幼稚園児を舞台に上げ、実際に横断歩道を渡ったり、赤で止まるなど信号機の見かたを学んで交通ルールを身につけさせ、幼児自らが交通事故から自分を守ることをめざしていることにある。
 16年6月に行った東京公演が最初で、16年度は全国16ヵ所、約9000人の幼稚園・保育園児や保護者などを動員。17年度は全国26ヵ所で約1万5000人。また、18年度は全国35ヵ所での公演が予定され、動員目標は2万5000人。

◆高齢者に好評な交通落語も

 「高齢者向け交通安全教室」は、1回約90分のプログラムで、そのなかに交通安全講話、敏捷性測定、交通安全体操、交通安全落語などの内容が盛り込まれている。
 とくに「交通安全落語」はJA共済のオリジナルで、桂小米師匠、笑福亭瓶太師匠の2人によって演じられ、交通事故に遭わないための留置点の取得が楽しみながらできることと好評だ。また、高齢者の交通事故の要因のひとつである加齢に伴う姿勢の悪化からおこる視野狭窄や運動能力の低下を和らげ、かつ改善することを目的に開発された交通安全レインボー体操も話題を呼んでいる。17年度は全国17ヵ所で実施、約3500名が参加した。18年度は、全国50ヵ所で実施を予定し、約1万人の参加を見込んでいる。

交通事故被害者の支援

◆介助犬の社会的な認知へ積極的なPR活動

 交通事故防止とともにJA共済が力を入れているのが、交通事故被害者への支援だ。
 交通事故被害者の社会復帰を支援するため2つの「リハビリテーションセンター」の開設と交通事故による脊椎損傷で肢体が不自由になった人を介助する「介助犬」の育成・普及支援に取り組んでいる。
 介助犬を必要とする障がい者は全国で1万5000人いるといわれているが、18年3月現在正式に認定された介助犬はわずか30頭と介助犬の不足は深刻な状態で、その育成・普及が強く求められている。しかし、資金面やトレーナー不足などで育成・普及がなかなか進まないのが現状だ。
 「身体障害者補助犬法」により法制度は整ったが、社会的な認知度がまだ低いため、JA共済はPR活動にも力を入れている。介助犬の活躍する姿を紹介するテレビCMを放映し、また子ども向けに介助犬の読み聞かせ本を制作した。

◆2万人を超える人の社会復帰を支援リハビリセンター

 静岡県中伊豆と大分県別府にあるリハビリテーションセンターは、病院・福祉施設・介護施設の3つの機能を合わせ持った、全国でも数少ない総合型の施設だ。「身体障がい者のしあわせ」と「福祉社会の建設に寄与する」ことを理念として、交通事故被害者などの社会復帰を支援してきた。設立以来、17年度末までに2つのセンターを利用し社会復帰した人は、診療2万387名、更生1506名、授産161名、療護22名、計2万2076名に上る。
 いままでの福祉施策は、行政が財源を握り、誰にどのようなサービスを提供するかを行政が決め、一部の限定された人を対象とする傾向があった。両センターは、JA共済事業に支えられた農協組織らしい福祉施設として、障がい者の自立と地域社会に開かれた施設をめざしている。

健康や暮らしへの支援

◆健康管理・増進活動も積極的に展開

 交通事故に関わる社会貢献活動だけではなく、健康で安心して暮らせる豊かな環境づくりも大きなテーマとなっている。
 その一つに、生活習慣病予防や肥満などの生活全般の健康相談、医療機関の情報提供、介護やリハビリなどの相談を専門スタッフがフリーダイヤルで受ける電話相談サービスと健康情報やクッキング情報を無料で提供するFAXサービスを実施する「健康・介護ほっとライン」がある。平成14年の開設以来すでに延べ4万5000人以上に利用されている。
 健康管理・増進活動では、別掲のレインボー体操(7面参照)や健康管理に不可欠な各種の健康診断や人間ドックにかかる際の助成も行っており、これまでに人間ドックは170万人以上、健康診断は2500万人以上が利用している。
 さらに、高齢者や身障者が安心して暮らせるよう願って、介護福祉士養成奨学金助成、身体障がい者ホームヘルパー養成助成、在宅介護施設の建設資金助成などの活動にも取り組んでいる。また、農村の高齢化の進展に伴い、高齢者を対象に、保養施設を利用しながら健康診断を受ける高齢者集団保養検診を実施しており、これまでに約170万人が受診した。
 また、JA共済の契約者の住宅が自然災害や火災で壊れ、住めなくなった場合には「応急住宅」を無償で貸し出したり、自然災害で住宅の一部が破損したときに「災害」シートを無償で配布するなど、共済金の支払い以外にも災害にあった人たちを支援する活動も行っている。

豊かな心を育てる

◆50周年迎える書道コンクール 子どもたちの情操教育も

 地域社会との絆づくりや共済事業の相互扶助・思いやりのある心の豊かさを伝える文化支援活動も、社会貢献活動の重要な柱だ。
 その一環として、次世代である小・中学生の情操教育を促進すると同時に、図画工作・美術教育の高揚をはかり、交通安全思想を幅広く社会に訴えることを目的に、毎年「書道」と「交通安全ポスター」コンクールを開催している。2つのコンクールとも長い歴史があり、「書道」コンクールは今年は50回目を迎える記念すべき年となる。また、「交通安全ポスター」コンクールも35回目を迎える。
 今年50回目を迎える「書道」コンクールは、歴史もさることながら質・量ともに、国内有数の規模となっている。
 昨年の「書道」コンクールには、全国から128万点を超える応募が、「交通安全ポスター」コンクールには16万点を超える応募があった。「書道」はこれまでに約4000万点以上の応募があり、「交通安全ポスター」の応募は700万点を超えている。今後、より広く多くの小・中学生の参加をめざしている。

(2006.5.26)

 



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