農業協同組合新聞 JACOM
   

特集 農協愛友会 創立50周年記念


農協愛友会が創立50周年記念の座談会開く

農協愛友会50年の歩みと期待

座談会 その2


◆財政面を考えると

江草猛氏
江草猛氏

 行徳 また話題を変えますが、愛友会の新年賀詞交換会にあいさつにこられる全国連のトップは全中会長の岩持静麻さんだけでした。それぞれ自分のところの新年会がありますからね。
 赤羽 私は全国連の新年会会場で岩持さんに「次は愛友会の新年会へ行きましよう」と誘って一緒に車に乗ったことがあります。すると岩持さんは「愛友会でのあいさつは、どんなことをしゃべったらいいのかな」と私に聞くのですよ。愛友会のことを十分に知っておられたわけではなさそうです。
 島田 谷さんは愛友会は発展するだろうと期待をかけていましたね。昔を語れば、農村時計のころは横にすると動かなくなる製品もあってパンパン時計≠セなんて冷やかされたこともあります(笑い)。また、よく壊れるんですよ。それがリズム時計になって段々と品質を向上させていきました。
 赤羽 私は平成十二年に愛友会の会長になりましたが、一番気になったのは財政的にどうなのかということです。現役のえらい方々がメンバーにいらっしゃるから、もし派手に行事をやったとしたら、そのつけは、どこかの会員企業・団体に回っていって、いつの間にか済まされているわけですよ。そんな財政運営でよいのかと思いました。だから、あまり派手にはやれないのです。
 川口 昔は愛友会として使ったおカネのつけが宮部さんあてにはきませんでした。家の光協会の総務へ請求書がくるのです。おやっと思って記憶をたぐり、やっと、これは愛友会関係の支出だったと思い出すのです。時代が時代でしたね。鷹揚でした。
 赤羽 そこが気になったのですよ。一法人・団体当たりの会費が四万円でやっていけるのかと。
 昔は農業のウェイトが高かった。愛友会の支出が多くなると、農中の関係先や全農の取引先にお願いしていたと思います。当時の金融機関は今と違いますし、全農の取引先も大手の資材メーカーなどとのお付き合いが多かったことと思います。

◆会友の負担はゼロ

行徳克己氏
行徳克己氏
 ところが今は農業生産額が松下電器一社の売上高にも及ばないでしょう。だから農協周辺の会社にとって農協は魅力がないのです。農協グループの周辺がどんどん薄くなっていく状況だから愛友会のメンバーも減っていって、今の会員数は九十三(今年六月末)です。
 それで会の活動費をどうまかなっていくかを考えたのですが、会長としての任期中には改善できませんでした。
 江草 宮城さんが規則を改正して、世話人の推薦で現役でなくても会友になれる、OBでも参加できると決めました。規則によると、会友は本会役員、会員役員OBおよび農協中央機関OBで本会に貢献のあった方を本会世話人会の議を経て決定するとあります。
 また会友からは会費を徴収していません。だから会友である私は申し訳ないが、一円も払わずに参加し、きょうも、ここに座っているわけです。
 それでね。会の運営が苦しいということであれば、やはりカネを徴収したほうがいいですよ。会友は会員よりぐんと多く、百四十九人もいるのですから。
 赤羽 総会の席上、「会友が増えているのは非常に喜ばしい。一時は百人を切ったことがあったが、今は約百五十人だ」と全共連OBの方が発言されていたのが印象的です。

 ただ会友の負担はゼロというのが検討課題です。何年か前の総会の席上でも「会友からも会費を徴収したらどうですか」という有難い意見が出たのですよ。それで私は会費を取る方向で考えて腹案を共栄火災さんに示しましたが「今しばらくは、このままの規約でやっていきたい」というご返事でした。

 

◆昔は活気があった

中川敞行氏
中川敞行氏

 いずれにしても愛友会の活性化は大きな課題です。
 それから規約には会友の資格を「本会に貢献のあった方」などとありますが、これもかなり緩めて会友を増やしていくことなどを考えてもよいと思います。
 江草 会員を増やす活動はしているのですか。
 赤羽 やっていますよ。しかし全農なんかは関連会社の合併統合などでグループが収縮の方向だし、農中も同じことで、むしろ会員は減っていく傾向です。谷さんは「会員企業の負担を増やせばよい。会員増加活動は必要ない」といわれていましたが、会員の負担増なんかできると思いますか。どうでしようか。
 前田 すでに今後の運営とか展望についての意見が出ておりますが現在、愛友会の事務局は共栄火災さんが引き受けて、大変ご苦労をいただいております。そこで同社の鈴木さんと小澤さんから、ここでご発言、ご意見をお願いしたいと思います。
 鈴木(秀) すでにお話に出たように昔の愛友会は活気にあふれていました。それは現役の方々が中心にいたからだというご指摘もありましたが、それもその通りです。そういう人々が集まって一つの運動として組織をつくり、発展させてきたのです。
 「虹の航跡」にも書いてありますが、うちの大先達である宮城を含めた発起人の方々や運動に参加された方々には、ある種の哲学というか、協同組合組織の運動を何としても発展させたい、実りあるものにしたいという思いがありました。
 そういうエネルギーが全体に満ち満ちていたんじゃないかというふうに思います。
 農協組織と関連諸団体の関係を地球と衛星に例え、関連団体の活動は本体に対して一定の貢献ができるものでなければならないという記述にも哲学的なものが脈々と流れているような気がします。
 私が若いころ、仕事のことで宮城さんとお話させていただいた時、宮城さんは三十分の予定を大幅に超過し、三時間にわたって系統組織の一員としての情熱を語られ、私は大変感動した思い出を持っています。
 その意味で系統組織の一員としていえば愛友会という組織とその運動はすごい歴史を持っているんじゃないかと思います。

◆系統組織の有難さ

鈴木秀治氏
鈴木秀治氏

 鈴木(秀) ICA(国際協同組合連盟)の傘下に協同組合系統の保険・共済の団体・会社が加盟するICMIFという国際組織があり、共栄火災も加盟しています。
 その国際組織に加盟している欧米の保険会社を訪問して愛友会のことを話した時、かれらは大変驚きました。
 そこで私たちは愛友会について、農協の外郭団体であり、ある意味では非公式に近い懇談会のような組織として古くからひとつになって運動を展開しているなどと説明しました。
 日本の協同組合運動は欧米に比べ遅くスタートしたわけですが、その中で、世界でも最も実力のある全共連のような共済組織が発展してきた背景には、愛友会のような運動があったのだと、彼らは納得したようです。
 小澤 この機会に系統組織がどれほど有難かったかという思い出を申し上げます。
 一九九九年あたりから損害保険業界は激動の時代に入り、みなさんから共栄火災の先行きや方向性について大変ご心配をいただいた時期がありました。系統の諸先輩には当社の方針などについて、もっと理解を深めたいとの強い思いがあったようです。
 そこで社長の私は愛友会の定時総会で、社の考え方や進むべき道を報告させていただきました。そんな経験は初めてでした。
 また、系統の諸先輩には事務局のある共栄の動向に不安もあったようです。このため私は今後とも事務局として会の発展に尽くしたいと申し上げると、会場は大きな励ましの拍手に包まれました。今もその状景がきのうのことのように思い出されます。
 愛友会は系統の横断組織です。会員・会友の置かれた環境や条件はそれぞれ違います。だからこそ精神的に系統が一つとなる核として愛友会は運動論的にもなくてはならない組織です。OBと現役の方々が触れ合う機会は絶対に必要です。
 ほかには、そういう機会はめったにないのですね。今後、この会をどう強化・発展させていくか五十周年にあたる今年は、その大きな節目に当たります。
 前田 先ほどから、当会と懇話会の協力関係とか組織拡大とか各事業連との連携による運動の展開など、いくつかのご提言をいただきました。このあとは当会への期待や改善点について意見をいただき、今後の検討課題とし、愛される会にしていきたいと思います。
 島田 日本の農政はどこかおかしい。食料自給率は五十%以上でないと不安です。会としても自給率向上に全力を挙げるべき時だと何らかの形で提案して農政なり世論を動かすべきです。みなさん、何か良い知恵はありませんか。

◆会員にメリットを

小澤渉氏
小澤渉氏

 赤羽 研究会的なものが当会にはないんですよ。懇話会にはあるんですがね。
 別の提案ですが、当会は会友ではなくて、会員を中心に運営を考えるべきです。情報交換の場にはなっていますが、もっと会員のためになることをやらないといけません。
 島田 会員企業は義理で入会しているみたいだから幹部は行事に出てこないんですよ。当会のPRは会友がやっています。
 川口 私は会友なので、その立場からいうと当会の活動を大変有難く思っています。賀詞交換会に出席できるだけでも有難いのに、ほかにもたくさんの行事があります。
 そこで生意気なことをいうようですが、会員のメリットになるような行事のひとつとして、義理で当会に入っているような会員企業の代表が、農協中央機関のトップから話を聞けるような催しを考えたらどうですか。
 事業連別に会長か専務かを招くのですよ。会員としては年に一回でもトップクラスと意見交換ができるような場は大いにプラスになると思います。
 赤羽 当会の副会長である石原弘久さん(農中OB)から以前、不良債権問題の話を聞く勉強会を開いたことがあります。なかなか好評でした。農政問題が山積している昨今ですから、そういう催しも考えられます。
 鈴木(秀) 確かに今は現役の方々の参加が少なくて熱気が薄くなっています。昔は当会のゴルフに農林大臣杯が出たそうです。それほど発言力というか重みがあったということでしょうか。
 昨今は環境とか食料とかエネルギーなど系統組織に密接に関わる問題が山積しているのですから、もっと外部に向かって提言することがあってもいいのじゃないかと思います。
 前田 現役の参加の問題ですが、私は全共連での現役時代に若手に対して愛友会の賀詞交換会に出席するようによくいいました。そこで聞く各連の方々のちょっとした言葉が業務の上でプラスになると考えていたからです。今は会員を会の中にどのようにうまくまとめ込んでいくかで悩んでいますが、皆様の意見を聞きながら検討していきたいと思っています。
 小澤 賀詞交換会にしろ講演会にしろ参加しないとわからないことがたくさんあります。そこで当社の場合、役員については愛友会の行事に参加することをスケジュール化しています。
 前田 OB諸先輩はめったに会わない人に年に一回でも会ってお互いに健康を確認しながら旧交を温めるのはまことに楽しいといっています。そのОBと現役組の連携をどういうふうに編み出していくか、また会友にご負担をいただくかどうか、その辺も課題です。

 本日はご多用の中ご出席を頂き貴重な体験談、ご意見を賜りました。ありがとうございました。

(2007.10.31)

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