農業協同組合新聞 JACOM
   

特集 「食と農を結ぶ活力あるJAづくりと女性達の役割2008」


JA女性 かわろう かえよう 未来のために

フレッシュミズ大いに語る その2

人と人とのつながりを大切に楽しく農業をし活動する

座談会の様子@

◆「介護」は現場にいる人たちが声をあげて

 米本 いままで親子とか子育てのことを話し合っていただきましたが、同居されているご両親が高齢化していく中で介護の問題が避けては通れない問題になってきます。この点についてはどうですか。
 吉本 私は18歳のときから半身不随になった自分の祖母の介護を25年間してきました。両親は仕事をしていて時間がありませんでしたし、姉は結婚していたので私が介護することになりました。一時良くなったのですが、私が結婚して娘が生まれたころに再発しましたので、昨年亡くなるまで介護しました。
 介護保険ができて一番喜んだのは私ではないかと思います。祖母は私に感謝してくれていたので、在宅で介護してもそんなに苦にはなりませんでしたが、介護制度ができてデイケアに行ってくれたときに「こんなに余裕ができた」と実感しました。そして私自身もヘルパー2級の資格を取得し、現在も現役のヘルパーとして在宅介護をしています。
 米本 JAが取組んできた生活支援の活動は役に立っているわけですね。
 吉本 役に立っています。
 米本 いま全国で348JAが介護事業に取組んでいます。そしてもっともJAらしい活動である助け合い組織が445JAに859組織あります。この取組みをもっと広げるには、どうすればいいと思いますか。
 小林 吉本さんのように現場を見てきた人でないと分からないと思いますね。だから実際に介護した人が声にしないといけないと思います。

◆元気な高齢者の活動と子育て活動をつなげる

 米本 これからは一人暮らしの人も増えるでしょうから、介護についてシッカリ考えなければいけない時代になっています。もともとJAは助け合う組織ですから、もっと前向きにやれるようにしていったらいいなと思います。
 吉本 私のところは設備が整ったセンターがあって、年金友の会とか高齢者が集まる機会があるので、月1回くらいデイサービスができたらという話をしています。ところが80歳でもレンコンを掘っていたり元気なお年寄りが多くて、福祉にまで広がっていかないんですよ。小学校で毎年餅つきをしますが、そのお餅を一人暮らしの人に配っています。地域によっては月に1回お楽しみ弁当を配ったりしています。そういう活動がJAの助け合い組織でできたらいいなと思っています。ただ、一人暮らしの方が元気で、家族と同居している人の方が困っているということもありますから、対象者をどうするかはよく考えないといけないと思いますね。
 米本 なるほど…
 吉本 女性部の高齢者の集まりには子どもを呼んで、一緒にゲームをしたり、お餅作りをお祖母ちゃんに教えてもらったりするんです。そのときは高齢者も子どもたちも本当にいい顔をしているんです。
 米本 元気な高齢者の活動と子育て支援をつなげるような展開ですね。
 吉本 私は地域の子どもは地域全体の子ども、地域みんなで育てると考えています。地域には必ずJAがありますし、JAで何か催しがあるといえばお年寄りもたいがいは出てきますから、JAをもっと活用したら、もっといい活動ができるのではないかといつも考えています。
 米本 家の光をはじめ、JA共済やJAバンクなどが女性組織などの活動に支援を考えています。JA共済は助け合い組織に5万円の助成を、JAバンクは食農教育活動に対する支援をすることにしています。
 吉本 その支援を活用しようと思えば、いろいろ計画を立てるからいいですね。
 米本 活動の対象としているのは高齢者、子ども、女性ですが、そういう人たちが一緒に活動できる「場」をつくらなければいけないわけですね。

◆環境問題には身近な目に見えるところから

座談会の様子A

 米本 今年のJA全国女性大会では「JA女性 エコライフ宣言」をすることになっています。実際に環境対策に取組むには何からスタートするのがいいと思いますか。
 小林 車に乗らないようにといっても北海道ではそうはいかないでしょうから、アイドリングしないとか、関東平野の私たちは学校には自転車でいくとか、小さなことからではないでしょうか。コンビニ弁当はゴミが出るから自分でお弁当を作るとかね。
 米本 食では地産地消することはエコライフとして誇れるものですしもっとアピールしていいと思いますね。
 加川 環境が変化していくのを一番最初に感じ、受け取るのは農家ではと思います。でも、北海道のように大規模経営をしていると廃プラとかの出る量はものすごいわけです。春秋に回収していますが、そういう問題に理解のない人たちがまだいます。
 吉本 自分の所だけならこれだけしかないという感覚…
 加川 そうそう。だけど家庭用ゴミを分別するとプラスチックのゴミの量が多いので、そこから廃プラについても認識が改まることがあるようですね。
 米本 状況を変えるには目に見える形にするのがいいと小林さんは提案されていますね。
 小林 「エコライフステッカー」を作って軽トラとかに貼り付け、アイドリングしないとか宣言してもらうんです。そのことで環境に対する意識をもってもらい、ゴミを出さないようにしようとかね。
 米本 全部つながっているんですね。
 小林 コンビニ弁当は食生活の問題でもあるし、環境問題にもつながっているんですよ。
 米本 どういう暮らし方がこれから求められるのでしょうか。
 小林 いま24時間お店が開いていて、24時間電気が灯いていますね。夜中に店が開いているから夜遅く外出する親や子どもが増え、非行や夜型の生活につながるわけです。これは夜型生活は食生活やエネルギーに大いに関係します。昔の生活に戻るのが一番いいと思います。これはまずできないと思いますけどね。
 米本 便利さがいき過ぎているわけですね。
 小林 防犯のためにいたるところに外灯がありますね。人が出歩くから必要になるわけですよ。出歩かなければ必要ないですよね。外灯の周囲の稲はいつまでたっても青いままなんですよ、本当に…
 加川 家の周りは真っ暗ですから、外灯の周りの稲が青いままなんて初めて知りました。
 米本 地域性がありますね。地域のみんなが参加できるような身近な活動が必要ですね。
 吉本 町をあげて親子で一斉清掃を年に数回しています。JAではアクリルたわしを使い洗剤を使わないとか、今年は風呂敷をエコバックにリフォームしたりとかしていますね。

◆県や全国の集まりに参加し刺激を受けることも

 米本 女性組織がいろいろな分野に自主的に取組んでいることは素晴らしいことだと思います。現在、女性組織のメンバーは83万人ですが、いまの女性組織全体をどう考えていますか。
 加川 結婚したときからフレッシュミズに入っていますし、地域では人数も少ないですから女性部として活動しているので、その境目はよく分かりません。私の実家は東京ですから全然知らない地域へ入ってきたわけで、こういう組織があったおかげでいろいろな人と知り合い教えてもらえたので、私にとってはありがたい組織ですね。ただ表面的にみれば煩わしく思えるから増えないということはあると思いますね。以前は女性組織があるから外出できるし、意見が言えたのだと思いますけれども、いまの世代は好きに出かけられるから…
 米本 選択肢の一つになってしまったわけですか。
 吉本 自分たちの家族さえよかったらいいという人が増えたんです。だから食が乱れ、子どもも乱れるわけです。子どもが原因でなく大人に問題があるんです。組織と関わりをもち、少しでも地域や社会とふれあうことで食や家族の大切さをもっと多くの人に感じてもらいたいんです。
 米本 女性部とフレッシュミズと両方に入るのが普通の感覚ですか。
 小林 両方に入っている人が中堅にいて橋渡しするのがちょうどいいんじゃないですか。体力とか話題についていけなくなって自然に軸足が移っていくんですよ。だからあえて線を引くこともないと思いますよ。
 吉本 フレッシュのメンバーで56歳くらいの人がいるんですが、今年29歳のお嫁さんを入れてくれたんです。そうしたら自然とお嫁さんがフレッシュに来て、お母さんは女性部に行くようになりましたね。
 米本 女性部の部員さんに、お嫁さんに声をかけてもらうような活動をする…
 小林 専業でも同居しないお嫁さんが多いんですよ。
 米本 そこを乗り越えるにはどうすればいいんでしょうね。
 小林 まずは、今いる仲間を減らさない。幽霊部員をつくらないことです。経費の問題はあるけれど、県とか全国の集まりに出てくることで刺激を受けてがんばれるので、そういうところに一緒に行くのが一番いいと思います。
 吉本 中四国フレッシュミズ交流集会が今年で2回目の開催となり、徳島からは女性部の会長などの理解があり、フレッシュミズの役員全員が参加しましたが、そんな大会へ参加することでいろんな刺激をもらい、みんな大きく成長しましたね。

◆農業が好きだから楽しくがんばっていこう

 米本 JAにこういうことに取組んで欲しいということはありますか。
 小林 学校教育の現場に目を向けて欲しいですね。そして教育現場に農業が入って行って欲しいですね。
 吉本 JA職員に女性組織がJAの組織の1つだという意識が少ないと思うので、職員教育をして欲しいですね。そして女性組織の活動を理解して協力して欲しいと思いますね。私たちがやっている活動をもっともっと一緒に共にやってほしいです。
 米本 最後にこれからの抱負をお聞かせください。
 加川 米が主ですから、いまはきれい事をいっていられない状況です。生き残る策を考えなければいけないという切羽詰ったところにきています。高齢の方はこれから農業から離れていくわけですが、5年後10年後にはどうなっているのだろうかと考えると恐ろしくなります。いろいろありますけれど、私は農業が好きですから、農業を続けていきたいし、日本から農業がなくなるようなことはあってはいけないから、がんばっていきたいと思います。
 小林 私は楽しく農業をやっていきたいですね。人脈をつくるのが面白いですね。農業も誰かにというより自分でという意識が強く、男にできることは女にもできると考えているので、ハンドルがついているものには何でも乗りますし、機械も使います。
 吉本 私もいろいろな知り合いができ、いろいろ勉強ができました。それを少しでもまわりの人に伝えたいと思い活動を継続してきました。これからも自分が前を向いて、一人でも地域の方が元気になってくれたらと思い、まずは自分から活動していきたいと思います。
 米本 今日はどうもありがとうございました。

(2008.1.31)

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