アグリビジネス

アグリビジネス

一覧に戻る

【クミアイ化学工業】
化学農薬に匹敵する微生物農薬を開発

従来の課題を解決した「エコホープ」

「エコホープ」で受賞したクミ化社員  クミアイ化学工業(株)(望月信彦社長、本...

「エコホープ」で受賞したクミ化社員

 クミアイ化学工業(株)(望月信彦社長、本社:東京都台東区)は、さきに開催された『平成20年度(第9回)民間部門農林水産研究開発功績者表彰』で、農林水産技術情報協会理事長賞を受賞し、微生物農薬の領域と知名度を高めた。
 近年、環境負荷を低減し、かつ効率的な農業生産を行うための一手段として、自然界に存在する微生物を利用した病害虫防除、すなわち微生物農薬が注目されている。
 ただし、一般に微生物農薬は化学農薬と比較して効果が緩慢である、対象病害虫が限られている、生きた生物を利用する点から保存の安定性に欠けるため流通性に乏しい、安定した品質の製品を得にくい、さらに、化学農薬に比べ値段が高いなどの課題から、企業による実用化が困難とも見られていた。
 同社では、トリコデルマ属糸状菌の一菌株SKT-1株に、イネ種子伝染性病害に対して化学農薬に匹敵する高い防除活性と広い適用性を有することを見出し、安価に生産できる大量培養法を確立した。

「エコホープ」

 生きたSKT-1株の胞子を、生きたまま安定に保つ安定化作用の高い添加剤を見出し、品質変動を均質化する新たな製造方法を確立することにより、イネ種子伝染性病害防除剤「エコホープ」の実用化に至った。
 とくに「ばか苗病」に対して非常に高い効果を発揮し、適用分野であるイネ種子消毒剤分野で約9%(平成18年度)のシェアを獲得し、微生物農薬の領域と知名度を高めた。微生物農薬の使用は、農薬の使用回数に数えられないため、付加価値が高い特別栽培米に極めて有用とされている。

【受賞者】
▽永山孝三(研究開発部取締役研究開発部長)
▽熊倉和夫(営業本部企画普及部普及課課長)
▽三角裕治(製剤技術研究所主任研究員)
▽渡辺哲(営業本部企画普及部普及課課員)
▽前田嘉洋(研究開発部企画課課員)

(2009.01.05)