コラム

本紙論説委員のソウル・レポート

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【山内偉生】
ソウル・レポート(3)  本紙論説委員 山内偉生

韓国農協で活躍する知日派たち

 昨年の暮れ、韓国農民新聞社元副社長曺瑛基(ジョウ ヨン ギ)さんの招きでソウルに行き、短い滞在であったが韓国農協中央会そして農民新聞社の幹部に会うことができて本当に嬉しかった。韓国農協組織が、すべてに優先して、組合員農家のためにという理念を徹底的に実践している姿勢に感動した。
 さらに、韓国農民新聞が農協運動の尖兵として、時代の転換期において協同組合精神の発揚に大きな役割を果たしてきた歴史的事実を再認識した。

(右から)許さん・云さん・曺さん(左から2人目)中央会常務の金さん 日本の系統農協や農業関連経済団体との緊密な関係を発展維持するために、韓国農協中央会が「日本事務所」を設置していることは良く知られている。今回も曺さんとともに、われわれ訪韓グループの世話をして下さったのは、日本にかつて駐在された人々である。韓国農協中央会の店舗に、日本語の資料が整備されていることが示すように、韓国農協組織での知日派の存在は大きい。
 曺さんは農協中央会時代から、日本との関係が深く、農民新聞時代には、日本農業新聞の編集記者グループと密接なつながりがあった。私は1989年秋に、ソウルで開かれたアジア:アフリカ農村復興機関の「農村地域発展計画に関する国際会議」に出席した際に、大変お世話になった。その後、1992年5月に、東京で行われた新聞連主催の「日韓台国際会議」に韓国代表として訪日され、交流を深めることができた。
 次いで、知日派代表として、玄義松(ヒュン イウイ ソン)さんを上げなければならない。
 玄さんは、韓国農協中央会日本事務所長(農民新聞日本支社長)の経験があり、農民新聞社長として活躍された。退職後、広島市の修道大学に留学、日本農村文化の研究に励まれた。日本有機農業研究会の佐藤喜作理事長とは古い付き合いで、現在も、韓日農業・農村文化研究所の代表理事として国際的に活躍しておられる。
 そして、今後の日韓農協友好関係促進の重要な担い手として、許龍中(ホ ヨン シュン)さんがいる。
 許さんは、かつて日本事務所長、韓国農協中央会広報部長を歴任され、現在は、農民新聞論説委員として言論界で活躍中の気鋭のジャーナリストである。三人とも日本語が堪能で、しかも敬語の使い方に乱れがない。さらに、日本の歴史や文化について深い学識をお持ちで敬服する。韓国農協界の知日派の皆さん方との交流を一層深めたいものである。(完)

(写真)(右から)許さん・云さん・曺さん(左から2人目)中央会常務の金さん

(2010.03.16)