コラム

共存同栄

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【熊谷健一(JAいわて中央前専務、家の光専門講師)】
第4回 TPP参加で医療も崩壊 講演で厚生連医療を学ぶ

 1月28日、共存同栄ネットワーク第2回通常総会が新宿農協会館で開催され、松下雅雄会長が初年度の活動として小田原城址の二宮神社と先進地のJA帯広かわにし視察研修の成果を報告した。

熊谷健一(JAいわて中央前専務、家の光専門講師)  23年度はJA先進地研修を東西で行い参加希望者を増やしたい。急激に変化する経済・農政が農協に及ぼす影響について研修し、その成果を『家の光』『日本農業新聞』『農業協同組合新聞』などと連携しながら、JAの応援団としての活動を広げたい。そのため、永年農協運動に身を投じてきた同志仲間を増やすことを申し合わせた。
 総会の記念講演では日本文化厚生農業協同組合連合会(文化連)の武藤喜久雄理事長より「厚生連医療と文化連の補完機能」について学んだ。
 文化連は昭和23年9月23日、農村地域での「文化(くらし)、医療、保険」を守るため医薬品を共同購入し直接全国の農協に届けようと設立された。現在、医薬品などの購買供給高は657億円となり、21県の厚生連、52の単位農協、その他4組織計77会員への供給、活動支援を行っている。
 日本農業はTPPに参加すれば崩壊する。
 農水省の試算では農業と関連産業に及ぼす金額は7兆9000億円。農業生産額だけで4兆1000億円減少し、雇用は340万人喪失すると言っている。自由貿易により利益は高まると言うが、それ以上に国内経済がマイナスになり、国内の購買力が低下する。輸出が増える関連企業は利益を内部留保したり海外投資に向けるので、国内労働者には全く還元されない。
 文化連では、(1)公的医療保険の給付範囲が縮小され社会的補償が後退する、(2)株式会社が医療運営に参入し患者へ不利益が拡大する、(3)医師、看護士、患者が国際的に移動し医師不足、地域医療の崩壊に繋がる、と危機感を抱いている。
 共存同栄ネットワークはJAの応援団として、こういった山積するJAの課題を共有、研鑽していく。

(2011.02.03)