コラム

目明き千人

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【原田康】
人類の知恵も恐竜なみ

 恐竜は大きいことが強いこと、とどんどん大きくなったがあまり大きくなったので巨体を維持するエサ不足で絶滅した。上野の国立博物館に恐竜の化石の模型があり夏休みは入場に40分待ちの人気である。

 恐竜は大きいことが強いこと、とどんどん大きくなったがあまり大きくなったので巨体を維持するエサ不足で絶滅した。上野の国立博物館に恐竜の化石の模型があり夏休みは入場に40分待ちの人気である。
 ヒト・ホモサピエンスも何百年か、場合によってはもっと早く何処かの惑星から来た“宇宙人”がかって地球上にヒトが住んでいたが、自分たちで開発した技術がコントロール出来なくなり絶滅した、と博物館に見学に来る。もっともヒトは恐竜ほど骨が太くないので化石にもならず、考古学者が遺跡から想像したヒトの模型を見ることになる。ただし、地球上のあちこちで何万年か前に埋められた放射性廃棄物は放射線を出し続けている。
 原子力は「核兵器」と「核の平和利用」で、核の傘による軍事力の均衡と経済発展による繁栄をもたらしたが、発見、発明をした技術者がコントロールの出来ないところまで来ていることを今回の3・11東日本大震災が見せてくれた。
 原子力発電は「クリーン・エネルギー、コストが安い、安全、電気の質がよい、地域の発展に寄与、日本経済の発展に不可欠である」という“原子力ムラ”の住人とマスコミはまさに“想定外”の事態に直面をしているが、虎視眈々と起死回生の機会を狙っている。
 発電所や核燃料廃棄物処理所は外から見えるので危険な物を隠しても限界がある。
 本当に危険なものは核兵器である。原子力空母は日本のあちこちの基地に来ているが大きいので直ぐわかる。原子力潜水艦は軍事機密に守られているので何処にいるか分らない、分らないのが最大の戦力である。東京湾から隅田川をさかのぼって浅草あたりにいても分らない。そんなことはあり得ないと誰もが考えるが3・11の地震があり得ない事が隠されていることを証明した。
 発電所だけでなく使用した核燃料の処理がまだ技術的に解決しておらず、困った挙句にモンゴルの砂漠に大きな穴を掘って各国がここにゴミ捨て場を作る計画が進んでいる。モンゴルの砂漠は“ゴビ”であって“ゴミ”ではない。
 核兵器は地球上の何処で爆発しても放射能、放射線は世界に広がることをフクシマが証明している。目先の豊かさにうつつを抜かしていて“そして誰もいなくなった”。

(2011.09.02)