コラム

目明き千人

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【原田 康】
「オバマが仕掛けてきた経済戦争」

 アメリカは戦争が好きな国である。アフガニスタン、イラクはアメリカ軍の撤退は決まったが治安回復のめどが立っていないのにまた新たに「アジアの市場・マーケットに照準を当てた経済戦争」を仕掛けてきた。TPPはアメリカが割り込んできたことで性格が変わった。アジア各国の経済の発展とは程遠い内容となった。

 アメリカは戦争が好きな国である。アフガニスタン、イラクはアメリカ軍の撤退は決まったが治安回復のめどが立っていないのにまた新たに「アジアの市場・マーケットに照準を当てた経済戦争」を仕掛けてきた。TPPはアメリカが割り込んできたことで性格が変わった。アジア各国の経済の発展とは程遠い内容となった。
 アメリカが戦争を仕掛ける場合、総力を挙げて周到な準備をする。2001年9月11日から2003年3月20日のイラク攻撃までの1年6ヶ月の間にアメリカがどのような準備をしたか、ワシントン・ポストの記者ボブ・ウッドワードが2005年に出版した「攻撃計画」(日本経済新聞社)に克明に描かれている。ブッシュ、チェイニー、パウエル、ライスなどへのインタビュー、政策を決定した関係者への取材、裏付けのある資料に基づいて戦争の準備をどのように進めたかが明らかにされている。2005年の本でやや古いが、125日でフセインを倒しイラクを民主国家にするとした計画が中東全体をゴタゴタにしている現在の方が却ってアメリカのやってきたことがよくわかる。戦争であるから軍隊が総力を挙げて準備をするのは当然であるがCIAが軍隊以上に活躍をしている。アメリカの国内世論、国連対策、イラクの反政府勢力への支援、トルコなど周辺国への工作のすさまじさがよくわかる。金は億単位で使い放題である。
 延長戦で2011年5月1日にビンラディンが「パキスタンの首都」で殺害された。
 TPPが経済戦争であるので、形を変えてCIAが周到な準備をしていると受け取るのが自然である。日本でも小泉劇場の演出にCIAが一枚かんでいたのは周知のこととなった。
 これに味をしめたのか、歴代の首相は演技の途中で幕を閉められるようになった。
 軍隊の戦争は力と力であるので敵と味方がよくわかる。CIAが入ると見えない相手と戦うことになるので厄介である。アメリカの思うツボにはまるような反対運動の仕方、妥協点を探るようなことをしないことである。
 反対運動を組織している人たちに「攻撃計画」を読み直して、アメリカがアフガニスタン、イラクで身動きが出来なくなっている経過を読み取って欲しい。
 アメリカが日本に突きつけているのは何か、ここのツボをはずさない対抗策を取り、日本の世論を作ることが当面の対策であろう。スジの通らない妥協は敗北である。

(2011.12.19)