コラム

目明き千人

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【原田 康】
「農協は生産・流通の現場に軸足を」

 日本の野菜、果実、コメ、の輸出を例に見てみる。日本の農産物は高いけれども美味しい、といって買ってくれているお客さんを固定客にして、更に拡大をするにはどのようにするか。高品質の評価は、店に並んでいる時ではなく食べた時に美味しい、の満足で評価が決まる。

 日本の野菜、果実、コメ、の輸出を例に見てみる。日本の農産物は高いけれども美味しい、といって買ってくれているお客さんを固定客にして、更に拡大をするにはどのようにするか。高品質の評価は、店に並んでいる時ではなく食べた時に美味しい、の満足で評価が決まる。
 輸出先の国の気候、食文化、卸売、小売店での売り方等の条件に合わせていつもの店に行けば、同じ品質のものが何時でも買えるようにすることである。
 輸出用の野菜、果実はその都度卸売市場で仕入れて送るのではなく、品種の選定、栽培、収穫後の管理、選別、保管、海外の小売店までの輸送、店での品質管理といった生産、流通の全体の仕組みを作ることで高品質の評価が得られる。
 お客も一部の金持ちだけではなく、所得が増えて豊かになる人達にも狙いを定めて販売量を増やすことである。外国の野菜、果実の小売店での売り方は大中小混みで山積みにしてお客が好きなものを選んで目方で買うのが一般的である。このような売り方は選別も大雑把でよく、コンシューマーパックの必要が無いので収穫以降の小売店までの流通のコストを大幅に下げることが出来る。品質は現在の水準を保ち、価格を安く出来る方法を工夫する。
 農家・組合員は「ものつくり」のプロフエッショナルである。生産のサポートと出来たものを販売する仕組みを作るのは農協組織の仕事である。販売は、販売先・ターゲットを絞り込むことから始まる。何処の国の、誰を対象に、どのような商品を作るかである。キャンペーンのイベントの時だけではなくその店の定番商品、看板となり継続して販売のできる商品の仕組みとする。産地にとっては輸出の出来る規格、数量は限られるので国内販売の一部が輸出向けとなる。日本国内での共同販売、共同計算などとのバランスを取って販売の体制を作ることで、高品質の産地として国内、海外の評価を高めることにつながる。
 日本の農業を輸出産業に、という構想がある。品質は海外での競争力は十分あるので流通の仕組みと価格競争力である。農家・組合員の、ものつくりを農協組織がサポートをして輸出がビジネスとして成功する。

(2012.02.27)