コラム

目明き千人

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【原田 康】
「安全な野菜を食べているのは誰か」

 美味しくて安全な野菜を食べている人は農家である。これは恐らく世界共通であろう。もちろん日本も含まれる。

 美味しくて安全な野菜を食べている人は農家である。これは恐らく世界共通であろう。もちろん日本も含まれる。農薬は体によくないことを一番知っているのは使っている農家である。無農薬だ、オーガニックだ、自然にやさしい、がキャッチフレーズになるが消費者のアンケートの回答と実際に買うものは必ずしも一致しない。
 虫食いや外観のよくないものは売れ残って閉店後もちゃんと店番をしている。料理の時にキャベツから小さな青虫が一匹でも出てきたら保険所へ通報の大騒ぎとなる。
 日本では農薬は病気や害虫には効くが、人には害にならず残留もしない薬しか製造、販売されないし、農家も使い方には神経を使っているので農薬が使われた野菜も大丈夫である。国によってはかなり乱暴な使われ方をしている。
 途上国で自国では農薬を製造せず輸入している場合、農薬の容器のラベルの薬品名、使用方法が製造した国の文字で書かれていて使う人には読めない、また、輸入国の文字のラベルが貼ってあっても字が細かくて読めない、さらに農村の識字率50%というところもある。農家は農薬を売っている資材店の説明、近所の人のやり方、我流で使っている。
 また、先進国では製造、販売が禁止されているような農薬も、安くてよく効くと輸入、販売をされている国もある。国の行政機関が規制などの指導はしているが禁止、罰則がしり抜けなので農薬店に並んでいる。病気、害虫の種類に対応する農薬の選定、使い方を指導する体制がなく、また現場で農家に指導ができる人材が不足している。このような国の農産物の販売は規格別ではなく、大中小混みでkgいくらという流通となっている。質よりも量が優先する。
 農家は、農薬が体によくないことは経験で知っているが、使わないと収量が落ちるので使わざるを得ないのが実情である。農家も自家用には少ししか農薬を使わない。どこの国も農家の知恵である。都市でオーガニックの看板で販売されているものの中には“昼間は無農薬”のものが紛れ込んでいる。
 日本でもファスト・フード店で、業務用には規格外のものも使うので安く提供できるとTVで宣伝をしているオーナーがいるが、曲がったものや小さいもの、大きくなり過ぎたものは味が落ちるので、味を大切にする料理人はこのような野菜は使わない。
 宣伝に惑わされないことだ。

(2012.04.18)