コラム

目明き千人

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【原田 康】
「シビリアンコントロールは9条が砦」

 歴史の教訓をもう忘れたか、の様な動きが出ている。このコラムの締め切りが13日なのでまだ選挙の結果が出ていないが、マスコミは憲法9条を廃止することを公約にした政党が復活をすると予想をしている。これまでも衣の下から鎧がチラついてはいたが今回は衣をかなぐり捨てて兜をかぶり手に槍を持って登場している。

 日本は第二次大戦の教訓として国家間の紛争は武力によらず話し合いで解決をすることを憲法9条で決めて守ってきている。紛争が絶えない現在、戦闘に巻き込まれた国の人たちが日本の憲法を改めて再評価をしているのが9条である。
 今年は国連が提唱をした国際協同組合年である。世界各地で起きている政治、経済のゴタゴタを解決する方法として「協同組合の基本的な価値」を世界各国が共有しようという働きかけである。基本的な価値が活かされるのは平和であることが大前提である。
 戦争になれば全てが吹っ飛んで軍事力の強い国の論理がまかり通る。
 今回の衆議院選挙は政党が乱立し当面する金融政策、TPP、外交、福祉政策が議論をされたが、一番大事なこと当面の課題とは次元の異なる国家の方向を左右する憲法9条問題こそが政党、候補者を選ぶ基準であること、がマスメディアをはじめ族議員支援の各業界が握りつぶした。国を守るための自衛権の発動は当然であり軍隊が必要との意見が多くなっている。シビリアンコントロールが歯止めであるがコントロールをするシビリアンは誰か、である。
 陸、海、空の三軍の最高司令官は総理大臣、文官の最高は防衛大臣でありこの二人はシビリアンである。自衛隊という巨大な組織をコントロールするためにはこの二人が自衛隊の幹部と自衛官から政治家として信頼を得ていることが必須要件である。いい加減な政治家に軍は任せられないが職業軍人の意見となる。
 もう一つのシビリアンは国民の世論となるが、世論を誘導するのがマスコミであり、今回の選挙でみたマスコミの姿勢、オポチュニストの意見があたかも世論のような報道の姿勢を見るとこれも危ない。シビリアンコントロールの最も強力な歯止めは憲法9条となる。裏返せば、これが一番邪魔な存在というわけである。
 選挙後の動きをよく見て、来年の参議院選挙には協同組合として支援をする政党、候補者の選択を間違えないことが必要である。

(2012.12.20)