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【金右衛門】
福岡八女茶事件にひとこと

 年明け早々、8日朝の時間帯にNHKラジオニュースから、「JA全農福岡県本部販売...

 年明け早々、8日朝の時間帯にNHKラジオニュースから、「JA全農福岡県本部販売の八女茶に他県産の茶を混入したことを認め、消費者・取引先に大変ご迷惑をおかけした」とJA全農の理事長が謝罪したと報じているのを聞いた。翌日の朝日新聞ではJAS法違反に当たるとして全農に業務停止命令を農水省は発令したと報じられた。
 大手町の全農幹部が慌てふためいている様子が想像できて気の毒である。聞けば新年の賀詞交換会もそこそこに理事長は福岡へ飛んでお詫びの記者会見に臨んだという。西日本新聞によれば、昨年12月に八女茶3品目に他県産のお茶を使用していたのが発覚した他、更に5品目で、「福岡の八女茶」が熊本産と宮崎産のお茶が10〜30%混入されているのを、「八女で育った」と表示していたという。いずれも、農水省と福岡県庁など行政サイドでの調査で発覚した。
 しかし、表示に悪意があっての偽装とはもちろん思えないし、消費者を意図的に欺いたと言うことでもない。福岡県本部の関係者はそれほど表示を気にしていなかったのではないか。その地域にお茶畑が無いのに宇治茶として売られたり、愛知県産や鹿児島産のお茶っ葉が静岡に来て原料になっているとか噂には出ていた。
 ブランド名のお茶の方が売れやすいから、業界では商売上の慣行だったとみなすこともできる。消費者も薄々このようなことは承知の上でブランド茶を選んで買っているのである。襟を正す意味ではJAS法の趣旨は賛成だが、この件での、JA全農に対する業務停止命令は罪が重すぎるように思う。そして、新聞記事になるとイメージダウンが大きい。長い目で見れば生産者と消費者の間でその商品の価値が決められるはずである。ブレンドしてお茶の味がよくなるケースだってあり得る。
 行政から表示が適切でないとの理由で生産停止、または販売中止にされるとは処置が過重ではないだろうか。しかも、八女茶は地域限定色が強い。県本部に対する業務改善命令ぐらいが適切かも。
 JAのような真面目な組織になればなるほどコンプライアンス(法令遵守)に過剰反応し易い。コンプライアンス(法令遵守)が行過ぎると些細なことが問題を大きくし、職員を萎縮させる。本来の組合員のための仕事が疎かになる。
 やがて、1万2000名の職員はコンプライアンス(法令遵守)を業務目的化する危険性が出てくる。JAグループの基本姿勢は、組合員の経済的、社会的地位の向上、安全な農畜産物を通じ、消費者・取引先の信頼に応えることである。町の八百屋さんのJAマークに対する信頼は今でも絶大である。罰よりも、協同組合事業にたいする行政の理解と心温まる支援を必要としている。

(2003.01.21)