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【金右衛門】
野菜デモにひとこと

 3.11の東日本大震災から1ヶ月以上過ぎた。津波の爪あとの瓦礫と原発の無残な姿が連日テレビに映し出されて、誰もが重苦しい気分である。

 復興支援に100億円寄付された実業家もいるが、普通の人は駅前などで義援金の箱に数回、千円札を入れるぐらいがせめてもの支援参加ではある。
 そんな時、友人からメールが入り、「野菜デモ=原発いらない」に行こうと誘われた。今、デモしないで、何時やるの! とせき立てられるような勢いにつられて、4月16日土曜日の午後渋谷駅から宮下公園まで歩いた。
 デモ集会場では女性司会者がつたない演説をしている。政党色はなく、演説者も一農民とか百姓です、茨城や千葉から個人的に来ました、といっている。インターネットで呼びかけた素人集団風である。それなのに、警察が物々しい。装甲車は待機しているし、制服警官が間隔を置いて10人単位で、立っている。
 前週行われた同種のデモは都内郊外の高円寺駅周辺で1万5千人になり、英国の大手メディアがカメラを回し、参加者も盛り上がったらしい。渋谷ではデモ参加者千人程度。野菜のお面を被り、「野菜には原発は要りません」魚の帽子を被った人も、「魚には原発は要らない」。野菜と魚が風評被害に怒っているメッセージ。
 太鼓のリズムで出発したが、交通規制で、3列200人単位でデモ隊が分断される。赤信号では止まる。出発の時「警察は我々を守ってくれます」とスタッフ。東電渋谷支店の前には警官がずらり整列、これではデモ隊の暴走!いや自由行動は出来そうにない。大人しい若人・家族づれがほとんど。60年安保時のデモ経験者としては今どきの順法デモが物足りない。
 カメラは沢山来ていたが、野菜デモを報じたのは翌日の朝日新聞とネット動画だけ。外国の民主化デモの迫力にはほど遠い。

(2011.04.25)