コラム

落ち穂

一覧に戻る

【駄々っ子】
消えた米のバイオ燃料?

 もし、一家の主(あるじ)が、中小企業の親父が仕事にいき詰まったり、資金繰りがつ...

 もし、一家の主(あるじ)が、中小企業の親父が仕事にいき詰まったり、資金繰りがつかなくなったりで、とんずらしては、残された家族や従業員は忽ち、路頭に迷う。だから、男(勿論、女性も)は懸命に働く。でも、この国の主はいとも簡単に国政、いや国民を放り出した。
 何でも、この辞任劇は、新テロ特措法の再可決が公明党の反対で通りそうもないことも一因とか。それに関係するアフガニスタンでNGO「ペシャワール会」の伊藤和也さんが武装グループに拉致、殺害された。その伊藤さんが撮ったという、「菜の花畑で微笑む少女」や「大きなサツマイモを手に笑みを浮かべる少年」などのカラー写真が新聞(8/31付朝日)に載っていたが、彼の死を知って少女や少年の笑みも消えたことだろう。
 この地はかって「緑のアフガン」と呼ばれたそうだが、長年の戦乱、米軍の攻撃とテロ掃討作戦、大干ばつもあり国土が荒廃。そのため、ペシャワール会は、本命の医療活動の傍ら、飢餓を防ぐために食料確保を優先させ、井戸を掘り、用水路を築いて田畑を復興する活動をしていたそうだ。この会は「平和は軍事では勝ち得られぬ」が信念とか。'立派'の一語。
 さて、話をみだしに戻そう。最近、とうもろこしや小麦などの穀物を原料にするエタノール燃料が食料危機の主犯と言われ、下火になっている。日本でも、第2世代のバイオ燃料といわれる、稲わらや木質などに向かっているようだ。唯一福田首相の功績ともいえる食料自給率向上対策でも飼料米などの非主食用の増産を打ち出しているが、米のバイオ燃料化は一行も出てこない(たしかに、米のバイオ燃料化は食料自給率向上とは関係ないが)。
 先日、山家公雄さんの「日本型バイオエタノール革命」(日本経済新聞出版社)を読んだ。詳しくはそれに譲るが、本の帯にあるように「主食を燃料にする」、「水田」を「油田」に変える決断がこの国の農業を救い、地域再生につながるは、我が意を得たり。日本の最大の課題は極端に自給率の低い「油」と「食糧」の二つ。これを救うのが日本の唯一の資源「水田」。アフガンじゃないが、耕作放棄地を菜の花畑にし、二毛作や二期作を行ってバイオ燃料をつくる。まさに、これが著者のいう「日本型」のバイオエタノール革命。食料自給率向上には油もいる。農水省、環境省、国土交通省、経済産業省、こんな縦割り行政をやっている限り、日本はつぶれる。これを統べるのが、首相ですよね…。

(2008.09.09)