コラム

落ち穂

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【駄々っ子】
『いのちの米』

 世界、いや、この国も気候は一体どうなっているのだろう。豪州では猛暑で死者200...

 世界、いや、この国も気候は一体どうなっているのだろう。豪州では猛暑で死者200人以上もでる大規模な山火事、中国では旱魃で小麦が大減産と報道されている。日本も真冬・1月の末に北海道(札幌)に行ったが雪がない。何とも北海道らしくない冬の光景と思いきや、本州でも2月の半ばに夏日を記録する始末。
 「円高実感したいが、円が無い」「遼君に生涯賃金追い越され」(第1生命保険サラリ−マン川柳)と、世の中、不況の嵐の真っ只中。一人麻生首相だけが迷言を撒き散らし、孤軍奮闘。いや、もう一人、農水大臣が「あらゆる角度から、農政改革を行う」「減反見直しも選択肢」と気炎を上げる。農政改革、総選挙を控えてか、やにわに全国区課題の様相。
 この農政改革の目玉は減反の扱い。この対立の構図は、今までどおり計画生産(減反継続)をして米価を維持し、転作には従来の小麦や大豆の他に、新規に米粉や飼料用稲を加える、と減反廃止、あるいは選択制にする考え。いずれにせよ、農政改革は待ったなし。大臣いわく「農林水産業は存亡の危機」、何しろ、この国はひとの命の根源「食」の未来が危ういのだから。
 減反政策下の40年、農業従事者は高齢化、耕作放棄地が埼玉県の面積よりも広がり、米の生産額も一頃のトヨタの営業利益にも及ばない、衰退一途の農業。50年先はおろか、10年先も見えない農業でいいわけがない。少なくとも「これまでの農政が正しかったのか」を議論の出発点にすべきだろう。
 世界は金融・経済危機に加えて、食料も穀物在庫が逼迫、価格高騰の煽りで暴動が起こる危機的状況。いや、日本こそ自給率40%の非常事態の国。ならば、減反云々は次元が低いのでは…?この国の水田は1億2千万人の大切な宝、唯一の資源。何しろ米は、ご飯・主食としてはもちろん、外国産飼料や輸入小麦の代替にも、バイオ燃料にもなる、世界最高の穀物。
 米は富樫倫太郎の小説じゃないが、日本人にとって『いのちの米』。この米をフル活用して、自給率向上策を考えてはどうだろう。ところで、減反が5割にも及ぶ北海道はどうするのだろう、と思いつつ帰路空港へ。土産に今話題の"花畑生キャラメル"と思い、売り場に行くが長蛇の列。仕方なく、いつぞや賞味期限で問題になった「白い恋人」を求めたのでした。

(2009.03.09)