コラム

消費者の目

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【花ちゃん】
燃油サーチャージに思う

 今年の夏は、「安・近・短」がキーワードでした。ガソリンの値段が高騰したため、自...

 今年の夏は、「安・近・短」がキーワードでした。ガソリンの値段が高騰したため、自家用車での遠出を控える人が増え、近場の公園や遊園地は賑わったようです。ガソリンスタンドの価格表示板が今ほど見られたことはないのではないでしょうか。日替わりで価格が変動するのでついつい見てしまいます。ゴールデンウイークの頃はあまりの値上がりぶりにオロオロしていましたが、この頃は価格が少し落ち着いたこともあってガソリンの値段に一喜一憂することもなくなりました。公共の交通機関を使う人が増えるなど環境のためには悪いことばかりでもないようですが、原油高の影響は様々な形で私たちの生活に影響を与えています。

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 最近よく聞く「燃油サーチャージ」という言葉ですが、肝心なところをカタカナ言葉にしているので、意味がよく分かりませんでした。インターネットで調べると、社団法人日本旅行業協会のホームページには、「燃油サーチャージとは、原油の高騰に伴って、航空会社の企業努力で吸収しきれない燃油価格の一部を、乗客の皆様にご負担いただく追加運賃のことです」と書いてありました。正式には「燃油特別付加運賃」というそうです。
 私の友人がヨーロッパに出張するために見積もりを取ったところ、航空運賃の50%もの燃油サーチャージが上乗せされていたそうです。しかし、多くの業界では航空業界のような燃料費の上乗せは簡単ではないようです。トラック運送業でも導入の方向とのことですが、実際には難しいのではないでしょうか。私の知り合いである企業の物流担当者は、数社の運送会社に分散していた貨物を1社に集める代わりに、運賃を据え置いてもらったそうです。このような方策も、このまま原油高が続くと続かなくなるでしょう。

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 JA宮崎経済連が重油の基準価格をベースに、サーチャージを導入することを検討しているというニュースは新鮮な驚きでした。重油の値上がり分をピーマンなどの青果物の価格に転嫁しようということですが、これには賛否両論あるのではないでしょうか。農家を守るためにはやむを得ないのではないかという気持ちもありますが、消費者の立場からはできるだけ値上がりは避けてほしいですし、連鎖的な物価の上昇につながってはたまりません。しかし、恒常的に原油価格が高くなればハウスの作付けが減り、結果として品不足になって価格が上がるでしょうから、これも困ったことになります。
 そもそも青果物は価格の変動があります。これにサーチャージが乗っかることになれば、スーパーなどの店頭での価格表示は一体どうなるのでしょう。青果物の価格がますます分かりにくくなるのではないかとの懸念を抱かずにはいられません。願わくは、この原油高が一時的なものでおわり、年末までには一段落してくれることを願っています。そうすれば青果物へのサーチャージの導入は見送りになるのではないかと思いつつ、ガソリンの価格表示を見ては給油のタイミングを見計らっている今日この頃です。

(2008.10.03)