コラム

消費者の目

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【花ちゃん】
農産物の"原点"とは?

 20代の女性をターゲットとした恋愛シュミレーションゲームがヒットしているのだそ...

 20代の女性をターゲットとした恋愛シュミレーションゲームがヒットしているのだそうです。少し前までは、テレビゲームと言えば子供か、さもなければちょっとオタクがかった人たちのものというイメージでした。
 しかし、ポータブルゲーム機や携帯電話のゲームが登場したおかげで大きくイメージが変わりました。ポータブルゲーム機本体は、従来のゲーム機とは違って様々な色が用意されています。色合いは男の子が好むようなはっきりした色だけではなく、女の子の好みそうなパステル系の色合いも用意されています。また、従来のゲーム機に比べて小型化されていますので、ハンドバックなどに入れても邪魔になりません。途中でやめてもすぐに続きから始められる便利さも受けて、首都圏では電車の中などで若い女性たちがポータブルゲーム機や携帯のゲームで遊ぶ姿を結構目にするようになりました。そのような環境の中で、彼女たちをターゲットとしたゲームソフトが生まれたのだそうです。

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 この市場は2008年に前年対比で3倍ほどの成長を見せたとのことで、2009年に大きく伸びるのではないかと期待されているそうです。今までゲームをやっていなかった若い女性にゲームソフトを売ることができれば、既存の市場に上乗せできますので、市場規模はさらに大きく膨らむわけです。
 すでに全世界を席捲しているニンテンドーは、テレビゲームを一部のおたくの手から取り戻して、いつでもどこでも誰でも簡単に楽しめるようにしようという戦略を推し進め、ポータブルゲームの市場を大きく広げました。私自身、ニンテンドーのファミリーコンピューター時代からテレビゲームを楽しんでいた世代ですが、ゲーム機が高性能化していくにつれゲーム自体が複雑になりすぎて、しだいに敷居の高いものになっているなと感じていました。あまりにもリアルな映像を求めるあまり、人間の想像力をかき立てるようなわくわく感が減っていったのかもしれません。
 ニンテンドーの成功は、技術の進歩をうまくオブラートで包みながらゲームの原点に戻ったことにあるのかもしれません。

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 ところで、農作物の原点は何でしょうか。
 私はそのおいしさと毎日継続的に食べることのできる手ごろな価格にあると思います。顔の見える農作物ということで、スーパーの店頭やホームページなどで、農家さんのプロフィールや栽培過程を詳細に紹介していますが、最終的には食べてみておいしいかどうか、その味が価格に対して価値があるのかどうかが決め手になるのではないでしょうか。
 農作物に対する生産者の思いや栽培過程での技術的な差別化情報は、購入してもらうきっかけとしては十分効果的です。しかし、食べておいしくなければ継続的な購入にはつながりません。また、おいしかったとしても値段が高すぎては、やはり一度限りの購入で終わってしまうでしょう。
 原点で勝負している農産物こそが、末長く消費者に愛される真のブランドとして生き残れるのだと思います。

(2009.02.12)