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【前中国大使】
丹羽 宇一郎 氏

 大使として1年半前まで中国・北京に赴任していた頃と比べて「今の日中関係は次元の異なる段階に入っている。厳しさが1ランクアップし、戦後最悪の状態にあると言ってもよい」と日中関係の悪化を憂えた。

 丹羽氏は一般社団法人農協協会、農業協同組合研究会、新世紀JA研究会の3団体が共催した「日中問題を考える」新春講演会で講演した。
 日本、中国の現在の関係について「信頼関係にひびが入り、首脳同士の信頼関係がなくなり、話もできない状況」であり、「特に安倍総理の靖国神社参拝の影響が大きかった。個人としては問題ないが、日本の代表である総理大臣として参拝したことは、政教分離の憲法上の問題だけでなく、ポツダム宣言に基づく国際法上の問題もあり、アジア諸国はもとより、第2次大戦の戦勝国の、日本に対する失望を招いている」と厳しく指摘した。
 また、尖閣諸島の領有権をめぐる両国間の領土問題については、「1972年から98年までに、日中間で4回も共同声明を出している。そのなかで、日中間の対立を煽るようなことはやらないことを明記しているが、両国はそれを破り、その逆をやっている。いまこそ共同声明の精神を遵守し、実現のための努力をしなければならない」と冷静な対話が必要だと強調した。

(講演の概要は、【新春特別講演会】日・中の対立回避し交流を 丹羽宇一郎氏(前中国大使)が講演 で。)

(2014.02.10)