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食料と燃料両立のサトウキビ品種を開発 実用レベルの検証へ  アサヒビールと農研機構

 アサヒビールと農研機構九州沖縄農業研究センターは、砂糖の生産量を減少させないでバイオエタノールを大量生産できる『砂糖・エタノール複合生産プロセス』を開発したと4月13日発表した。

 これまでは製糖用のサトウキビでエタノールを生産しようとしても収量が少なく、燃料となる繊維分も不足。一方、バイオマス用に向く品種は糖含有率が低く、食料と燃料は競合関係にあった。
 このため砂糖生産量を確保しつつ、低コストで大量にエタノールを製造することを目指して『砂糖・エタノール複合生産プロセス』の共同研究を開始。
 その結果、「高バイオマス量」サトウキビを利用して、その高い生産力を維持しながらも糖収量が多い新品種「KY01-2044」を開発した。
 アサヒビールの発酵・エタノール抽出技術と、農研機構同センターのサトウキビ品種育成技術を組み合わせて、両者は06年から沖縄・伊江島で実証試験を行ってきたが、これはその成果だといえる。(関連記事:06年12月13日検証時の話題
 新品種は従来の製糖用品種と比べ単位面積当たりのバイオマス収量が1・5倍、全糖収量が1・3倍、繊維量が1・8倍。
 砂糖含有率はやや低いものの、原料茎の収量が50%程度大きく、収穫後の地下株から再び出る芽を栽培して収穫することも可能なため大量の原料を低コストで生産することができる。
 今後2カ年計画で同プロセスを実用レベルで検証する。新技術は食料・エネルギー問題に貢献し、南西諸島でのサトウキビ産業の活性化や地球温暖化ガス削減への活用も期待される。
 図表中の「バガス」とはサトウキビ搾汁後の繊維性の残りカス。

サトウキビ・エタノールを中心とした循環モデル

 

(2010.04.15)