農政・農協ニュース

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9割超が「十分な所得が得られる対策を」要望  農業者への調査

 農林水産省が全国2500人の農業者を対象にして実施した農業・農村意識調査結果によると、農業生産資源を将来にわたって維持していくためには「農業で十分な所得が得られる対策が必要」との回答が9割超ともっとも多かったことが分かった。

 調査は昨年12月に実施し農業者1972名から回答を得た。
 集落内で農業生産資源・農村資源を将来にわたって維持していけるかを聞いたところ、維持が難しいと回答した項目でもっとも割合が多かったのは「農村景観」で48.1%だった。ついで「農地・農業用水、農道などの農業生産資源」45.3%、「集落の寄り合いなどの共同活動」45.1%だった。
 これらの資源を将来にわたって維持していくために必要なことは「農業で十分な所得が得られるような対策」が95.1%を占めた。ついで「農村資源維持活動に対する支援対策」77.4%、「若者などの人材確保対策」77.2%だった。医療・福祉の確保やITなど情報基盤の確保策といった施策より、農業者の所得確保が農村維持にもっとも必要とされていることが改めて示された。

◆子どもに継がせたいが……

 農村を維持していくためには若い人材の確保が必要との回答割合も高いが、自分の子どもに「農業を継がせたいと思うか」との質問には「思う」との回答が69.7%にのぼった。その理由としては「自家の農地を守っていく必要があるため」がもっとも多く72.9%だった。ついで「集落のリーダー、一員として仲間とともに地域の農業や農地を守っていく必要があるため」が68.5%だった。
 一方、「継がせたいと思わない」との回答者にその理由を聞いたところ「農業では十分な収入が得られないから」が83.3%ともっとも多かった。ついで「休みが少なく労働時間も長いため」55.1%、「子どもが望んでいないため」38.4%だった。 自分の農地や地域の農地を守っていく必要があるために子どもに農業を継がせたいという思いは強いものの、「農業では十分な収入が得られない」から「継がせたいとは思わない」というのが現実のようだ。
 今後の農業のあり方のひとつとして、環境に配慮した農産物生産について聞いたところ、「とても利点がある」とした項目のうち割合がもっとも高かったのは「消費者の信頼が高まる」で43.6%だった。ついで「自身の健康につながる」36.3%、「地域環境をよくすることができる」34.1%だった。
 地域の高齢者に期待することでは、「伝統芸能や祭りなど地域の文化・伝統の伝承」67.0%、「地域問題についての調整役、とりまとめ役」62.8%、「耕作放棄地を利用して景観作物をつくるなど環境美化活動」54.8%が高く、地域活性化には高齢者の力が欠かせないと考えていることが分かった。

(2010.04.26)