農政・農協ニュース

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大国民運動の展開を―TPP参加は断固反対

 TPP(環太平洋連携協定)へ参加に反対する11月10日の緊急全国集会では参加に断固反対する特別決議を採択した。
 政府の基本方針ではわが国は今「歴史の分水嶺」に立っていることを強調し「国を開き」「未来を拓く」ために各国との経済連携を強化し、その選択肢のひとつとしてTPPについての「協議開始」を決めた。
 これに対して緊急集会での特別決議では「たしかに歴史の分水嶺に立っている」としながらも、「地球環境を破壊し、目先の経済的利益を追求して世界中から食料を買いあさってきた」これまでの「この国の生き方を反省する」という意味においてである、と強調した。まさにTPP参加は歴史認識にも関わる問題である。未来を拓くために、私たちはどの道をたどるべきなのか、緊急集会では国民生活全体に関わることだとして、大きな国民運動へと展開することを決意した。

今、問われているのは「国の生き方」

TPP参加に反対する緊急全国集会◆国民理解が不十分なまま交渉をすすめてよいのか?

 「TPP(環太平洋連携協定)交渉参加で日本農業、地域経済は壊滅する」。
 JAグループと全漁連、全森連と生協などが11月10日、東京・日比谷の野外音楽堂で「TPP交渉への参加に反対し日本の食を守る緊急全国集会」を開いた。集会には当初予定の3000人を大幅に上回る4000人超が集結。会場後方の立見席もぎっしりと埋まり、大変な熱気に包まれた。
主催者代表としてあいさつしたJA全中の茂木守会長 主催者代表としてJA全中の茂木守会長は、9日に政府が閣議決定した「包括的経済連携に関する基本方針」のなかで、TPP交渉への参加・不参加の決定を先送りにしたものの「関係国との協議を開始する」と判断したことに強い遺憾の意を表すとともに、「(基本方針の中で)日本の農業分野について国を開くことが目標になっているが、すでに十分に開かれている。これ以上を求められるいわれはない」と強く反論。
 TPP交渉参加による、資本・金融・労働力の自由化、関連産業や地域経済全体への影響などについても、「国民が十分に理解する時間もないまま、交渉を進めることは認められない」として、全国民を巻き込んで反対運動を展開する決意を述べた。
 集会では「TPP交渉参加で、WTOの理念やその取り組みが一瞬で水泡に帰す」「地球環境を破壊し、目先の経済的利益を追求し、格差を拡げ、世界中から食料を買い漁ってきたこれまでの日本のあり方を反省すべき」などを盛り込んだ特別決議(別掲)を採択し、国会に向けてデモ行進を行った。


◆経済団体、地方自治体からも反対の声

TPP参加は断固反対 集会では参加・賛同団体から4人の決意表明があった。過去に木材の貿易自由化などにより国内林業の規模が10分の1にまで衰退したことなどを例に出し、TPP交渉参加により日本農業が壊滅的打撃を受け、国民生活も脅かされることが訴えられた。
 商工会議所や地方自治体も反対を表明。地方経済では農林水産業が他産業の核を担っているとして「すべてが一体となって」反対することを宣言した。
 政党別では与野党の6人があいさつ。各人がTPP参加に反対を表明し運動への連帯を表明するたびに会場から拍手と歓声が沸いたが、民主党には厳しい声も飛ぶなど、現場の不安があらわになる場面も。地域壊滅の危機感が漂った。

 

 

大国民運動の展開を
【決意表明】

■資源の争奪合戦に拍車
全漁連・服部郁久代表理事会長

全漁連・服部郁久代表理事会長 TPP参加は地域経済が崩壊し、(漁業が持つ)国境域の監視機能といった多面的機能の維持も困難となり、国民生活の安定に多大な影響を及ぼす。
 自由化の進展、需要増で世界の水産資源は過剰に漁獲されている。これ以上自由化を進めれば資源の争奪合戦に拍車をかけることは明らかだ。水産資源の持続的利用が漁業存続の基盤である。

■国民にしっかりと説明を
北海道議会・中司哲雄農政委員長

鹿児島県商工会連合会・森義久会長 最近の領土問題をめぐる中国・ロシアの攻勢に何の手立てももたずわが国は国益を大きく損なっているが、それ以上に(TPP参加は)重大な結果を招くことは火を見るよりも明らか。“食料確保の安全保障”という国民の生命に最も大事なものを自由化することは許してはならない。
 非関税障壁について国民に何の説明もされないまま進めようとしているのは思いつきとしか思えない。

■生活奪う死活問題
鹿児島県商工会連合会・森義久会長

鹿児島県商工会連合会・森義久会長 わが国の地域経済が大打撃を受けることは必至。重大案件にもかかわらず、短期間で結論を出そうとしていることはあまりにも拙速だ。今年4月に発生した口蹄疫で畜産農家は大変苦労し、南九州の経済は大打撃を受けた。(TPP参加は)それ以上に農林漁業者だけでなく商工業者の生活基盤まで失う死活問題だ。

■政府は約束守るべき!
みやぎ生協・齋藤昭子理事長

みやぎ生協・齋藤昭子理事長 農畜水産業者がおかれた危機的な状況と、国際的な気候変動によって世界の食料事情が大きく変化するなかで、食料自給率向上に向けた生産者支援が国の責任として急務の課題だ。TPPに参加すれば食料自給率が14%に低下すると試算されたが、食料自給率を50%にするという国民との約束はどうなるのか。農政への信頼回復こそ、今政府が取るべき最大の行動だ。


【政党別あいさつ】

◆郡司彰氏(民主党・前農林水産副大臣、TPPを慎重に考える会副会長)
 菅首相の所信表明はあまりにも唐突ではないか。(TPPは)ルールが決まっているわけでもなく、どこへ向かうのか定かでない。この国のかたちを変えるという大きな話だと自覚し、農林漁業を強くする政策を行っていかなければならない。

◆亀井静香氏(国民新党代表)
 突然降ってわいてきたTPPの中身を国民の誰が知っているのか。 (茂木会長には)平成の佐倉惣五郎になった気持ちで、マスコミの参加賛成の大合唱によって冷静な判断をしなくなっている国民のもと、戦いぬいていくことを肝に銘じてほしい。

◆大島理森氏(自民党副総裁)
 菅内閣の外交政策の失敗を糊塗するために、経済成長の無策を打開するために農林水産物を犠牲にしてはいけない。日本の文化と伝統を守っているのは農山漁村だ。世界一おいしくて安全なものの生産をがんばってきた。希望ある第一次産業の政策なしにTPP参加は断じて許さない。

◆石田祝稔氏(公明党・政務調査会副会長)
 この議論はまさに国益と国益をかけた戦争だ。政府は3月に食料自給率を50%にしようと決めたはず。その後わずか8カ月。(TPP参加を決めれば)14%(という試算結果が出ていることについて)どうみるのか。農業は生命維持産業であり、単にお金に変えてはいけない。

◆志位和夫氏(共産党中央委員会幹部会委員長)
 地球規模で食料不足が問題になっているときに豊かな力を持っていながらTPP参加で日本のかけがえのない農林漁業をつぶすことは亡国の精神以外なにものでもない。TPP参加で利益を得るのはごく一握りの輸出大企業だけ。そのために日本を売り渡す政治を許すわけにはいかない。

◆福島瑞穂氏(社民党党首)
 政府は農業を悪者にし「開国だ」というが間違っている。TPPへの参加は一部の輸出産業のために農業、郵政、金融、公共サービス、医療、労働従事者を自由化し国民生活を全て売り飛ばしてしまうことだ。農業はまさに命の問題。食料自給率が下がれば国民の安全保障が実現できなくなり、自然や環境、食の安全も守れなくなる。

 

4000人超が集結★TPP交渉への参加に反対し日本の食を守る緊急全国集会実行委員会
【構成団体】
▽JA全中
▽全国農業会議所
▽全漁連
▽全森連
▽JA全農
▽JA全共連
▽農林中央金庫
▽(株)日本農業新聞
▽(社)家の光協会
▽全厚連
▽(株)農協観光
▽生活クラブ事業連合生活協同組合連合会
▽大地を守る会
▽(社)大日本水産会
【賛同団体】
▽全国町村会
▽パルシステム生活協同組合連合会
▽(社)中央酪農会議


「TPP交渉参加断固阻止に関する特別決議」

 咋日、政府は「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定した。このなかでTPPについて交渉の参加・不参加を先送りにしたものの、「関係国との協議を開始する」と判断したことは、きわめて遺憾である。我々は、改めて、TPP交渉への参加には反対であり、絶対に認めることはできない。
 仮に今後、政府がすべての品目を自由化交渉対象とし、TPP交渉に参加する判断を行えば、WTO農業交渉における、「多様な農業の共存」という高い理念の実現に向けた取り組みは一瞬にして水泡に帰し、多くの国々や関係者の信頼を裏切る背信行為となる。
国会に向けてデモ行進した 基本方針では、わが国農業分野について「国を開く」ことを目標に掲げているが、農業分野はすでに十分に開かれている。わが国は世界最大の農林水産物純輸入国であり、国民の圧倒的多数が望むのは食料自給率の向上である。
 わが国1億2千万人の国民の食料安全保障を担保し、安全・安心な食料の安定供給と併せ、農林水産業が果たしている地域経済、社
会、雇用の安定を確保することが、わが国の「強い経済」を実現することにつながり、「未来を拓く」ことになる。
 わが国は、今、たしかに「歴史の分水嶺」に立っている。地球環境を破壊し、目先の経済的利益を追求し、格差を拡大し、世界中から食料を買いあさってきたこれまでのこの国の生き方を反省しなければならない。
 自然の恵みに感謝し、食べ物を大切にし、美しい農山漁村を守り、人々が支え合い、心豊かに暮らし続け、日本人として品格ある国家を作っていくため、我々はTPP交渉への参加に断固反対し、更なる国民各層の理解と支持を得ながら、大きな国民運動に展開させていく決意である。

平成22年11月10日
TPP交渉への参加に反対し日本の食を守る緊急全国集会

(2010.11.15)