農政・農協ニュース

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日本農業の未来を自分たちで切り開こう! 第57回JA全国青年大会

 JA全青協(全国農協青年組織協議会)は2月15、16日の両日、東京・千代田区の日比谷公会堂で第57回JA全国青年大会を開いた。家畜伝染病の蔓延、異常気象、貿易自由化など問題が山積する中、新しい日本農業の姿を自らの手で切り拓いていこうとの熱い思いのもと、全国から1400人以上の盟友が参加。2日目にはTPP断固反対を訴え東京都心をデモ行進した。

大会終了後、TPP断固反対のデモ行進へ向けてガンバロー三唱

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大会終了後、TPP断固反対のデモ行進へ向けてガンバロー三唱


◆一人ひとりが主役になり活躍する

JA全青協の大西雅彦会長 今年の大会メインスローガンは、昨年に引き続き「新時代 新基軸 新青年部」。サブスローガンは石松孝志さん(JAむなかた青年部長・福岡)考案による「Get the Real Policy Back for the Future〜それでも僕らは種をまく〜」に決まった。
篠原孝農林水産副大臣 JA全青協の大西雅彦会長はあいさつで「自分たちの手にしっかりと国の政策をつかみ、農業の発展を取り戻すため、一人ひとりが主役になって活躍するのが唯一最大の手段だ」と述べ、日本農業の未来を熱く語り合える大会にしようと呼びかけた。
JA全中の茂木守会長 来賓として篠原孝農林水産副大臣が出席。TPPについて、菅首相の唱える“開国”と日本農業の再生は両立しないと前置きした上で、「TPPのあるなしに拘らず、日本農業はがけっぷちに立たされている。盟友の皆さんと一緒に叡智を結集して日本農業を復活させたい」と述べた。JA全中の茂木守会長は「青年農業者ががんばれば、地域は活性化する。失敗を恐れないで活動してほしい」とエールを贈った。

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(上から)大西会長、篠原副大臣、茂木会長


◆青年部が運動の先頭に立つ

会長に立候補したのは現副会長の牟田天平(むた たかひら)(佐賀県農協青年部協議会委員長、JAさが佐城青年部)氏 大会では次期正副会長立候補者が決意表明した。
 会長に立候補したのは現副会長の牟田天平(むた たかひら)(佐賀県農協青年部協議会委員長、JAさが佐城青年部)氏。「いつの時代も青年部は運動の先頭に立ってきた。農業経営の安定、地域の活性化のため尽力したい」と力強く宣言した。
 副会長には遠藤友彦(福島県農業協同組合青年連盟委員長、JAそうま青年連盟)氏が立候補し 副会長には遠藤友彦(福島県農業協同組合青年連盟委員長、JAそうま青年連盟)氏が立候補し、消費者との交流などを図りたいと抱負を述べた。
 両名は3月17日のJA全青協理事総会で選任される予定。

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(上から)牟田副会長、遠藤氏


◆河野房淑さん(JA宮崎中央青年部国富支店)、JA山形おきたま飯豊地区青年部が最優秀賞

「JA青年の主張全国大会」では宮崎県・JA宮崎中央青年部国富支店の河野房淑さんがJA全中会長賞 初日に行われた「JA青年の主張全国大会」では宮崎県・JA宮崎中央青年部国富支店の河野房淑さんがJA全中会長賞、「JA青年組織活動実績発表全国大会」ではJA山形おきたま飯豊地区青年部が千石興太郎記念賞を受賞した。
 河野さんは台風による壊滅的な被害を乗り越え、JAと組合員との関係を再構築した経験を発表。「宮崎では近年大変なことばかり起きるが、そのたびに全国の盟友が支援してくれる」と改めて感謝の気持ちを述べ、受賞の喜びを語った。
、「JA青年組織活動実績発表全国大会」ではJA山形おきたま飯豊地区青年部が千石興太郎記念賞を受賞した JA山形おきたま飯豊地区青年部は「3つの『わ』をうみだす『ひまわりプロジェクト』〜食と環境からの地域活性化をめざして〜」と題して、食農教育と環境活動をあわせた「ひまわりプロジェクト」とそれが発展して森づくりを手がけた活動などを報告した。発表者の浅野克幸さんは「環境活動に終わりはない。これからも環境循環をめざして活動を続けたい」と述べた。
 2日目に行われた「JA青年の歌『君と』全国コンクール」では、熊本県・JAかみましき青壮年部の大林和博さんが最優秀賞を受賞した。

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(上から)河野房淑さん、浅野克幸さん、「君と」を歌う大林和博さん(中央)


 大会では、「日本農業は、崩壊の危機に直面している(中略)国民の豊かな食と地域社会を守っていくという使命を改めて自覚し、新たな日本農業の礎を築く組織としてリーダーシップを発揮」することなどをめざす大会宣言(別掲)を満場一致で採択。
 また、「消費者とともに安心できる食料・農業政策を国家戦略として明確に打ち出すことを訴え」て、「TPPへの参加には断固反対する」ことなどを盛り込んだ「政府のTPP交渉参加を阻止する特別決議」(別掲)も採択した。
 大会終了後には、東京都心にトラクターを繰り出してTPP断固反対を訴えるデモ行進をし、お昼時の都心にインパクトを残した。

(デモ行進については、2月16日付の記事で)


【大会宣言】(全文)

 日本農業は、崩壊の危機に直面している。
 特に、TPPが締結されれば農畜産物の輸入量が激増し、国の目標として掲げられている食料自給率の向上も到底不可能となる。これは、国民の日々の食料を安定的に供給するという国家として当然の役割を自ら放棄するだけでなく、国家の基礎となる地域をも崩壊させてしまうこととなる。
 また、近年の異常気象や、口蹄疫・鳥インフルエンザなどの家畜伝染病がいつどこで発生するか分からないなど、農業を取り巻く環境はこの先も見通せない状況が続いている。

 「新時代 新機軸 新青年部」
 この大会メインスローガンのもと、我々は国民の豊かな食と地域社会を守っていくという使命を改めて自覚し、新たな日本農業の礎を築く組織としてリーダーシップを発揮していかなければならない。
 そのために我々は「Get the Real Policy Back for the Future それでも僕らは種をまく」を合い言葉に、現場や消費者の声、地域の現状を踏まえた日本農業の将来像をポリシーブックとしてまとめ、その実現のためにあらゆる場面で積極的に訴えかけていく。

 今こそ、我々青年部は活動の原点を再確認し、誇り高き青年の情熱と協同の力をもって課題の解決に取り組み、豊かな食と環境の共有を将来に渡って実現するための当事者として、全力を挙げて行動していくことをここに宣言する。

平成23年2月16日 第57回JA全国青年大会

 

【政府のTPP交渉参加を阻止する特別決議】(全文)

 今日、農産物価格の長期にわたる低迷などにより農業経営は厳しい状況が続く中、口蹄疫・鳥インフルエンザなどの家畜伝染病、異常気象や新燃岳噴火などの自然災害が、我々の経営に追い打ちをかけている。加えて、政
府は関税撤廃の例外措置を認めない完全な貿易自由化を前提としたTPPへの参加を検討している。

 わが国は瑞穂の国である。国土の隅々まで美しい農山漁村が広がり、豊かな実りを与えてくれる。農山漁村を将来にわたり維持していくことは、農業者だけではなく全国民の利益となることを我々は訴えていく。同時に、政府は食料・農業・農村基本計画に掲げた自給率目標や、農業・農村の多面的機能を十分に踏まえた上で、これからの日本農業を担う青年農業者がこれまで以上に意欲を持って農業経営を行えるよう、農業政策の強化とその実行のための安定した財源を確保すべきである。

 我々生産者は、消費者とともに安心できる食料・農業政策を国家戦略として明確に打ち出すことを訴えていくとともに、我が国の農業と、地域社会、地域経済が崩壊しかねないTPPへの参加には断固反対する。

 我々盟友は日本農業を守り、地域社会の発展に向けて想いをひとつに行動していくことをここに決議する。

平成23年2月16日 全国農協青年組織協議会

 

大西会長インタビュー

全県域でポリシーブック作成 JA全青協の取り組み

TPP断固反対! 東京都心でデモ行進

(2011.02.18)