農政・農協ニュース

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「TPP」対応、最重要課題に 第57回通常総会  JA全中

 JA全中は3月4日、第57回通常総会を東京・千代田区の東京會舘で開いた。
 今年度の優良JA・功労者表彰のほか、23年度の事業計画や収支予算などを承認し「TPP反対の国民運動の展開と農業復権の実現に向けた特別決議」を採択した。

JA全中第57回通常総会 ◆大会決議実践2年目の課題

 茂木会長は開会のあいさつで、「来年度は第25回JA全国大会の決議実践2年目にあたり、新たな協同の創造を着実に進め、成果を上げることが求められている」としてJAグループが直面する重要課題について所信を述べた。
 重要課題には(1)国際的な農産物貿易交渉としてTPP問題に関する事前対応、(2)農政改革への対応、(3)JAの総合性発揮による地域再生への取り組み、(4)JA経営のさらなる健全化に向けた取り組み、(5)国民の食料・農業・農村、JAに対する理解情勢に向けた広報強化―の5点を挙げた。
 TPPについては「国の仕組みや基準が一変しかねない大きな問題をはらんでいるにも関わらず、国民に正しく伝えられていない」ことを指摘し、各団体と連携の輪を広げた国民運動として取り組んでいきたいと強調した。
 JA経営では農業構造の変化に対応した取り組みの展開が重要だとして、特に女性農業者や青年農業者、次世代との関係強化による正組合員基盤の維持・拡大の必要性を述べ、これまで以上にJA運営への女性の参画意識の向上が不可欠だとした。
 また国民各層に食料・農業問題についての正しい理解とJAの活動について知ってもらえる広報活動の展開と合わせて、来年に控えた国際協同組合年に向け、他の協同組合と連携しながら協同組合運動のすばらしさを広く訴えていくこととした。

◆JAグループと本音の話し合いで

 来賓の筒井信隆農林副大臣はTPP問題について「『開国フォーラム』というものが開かれているが、日本は鎖国しているというのか? 世界第一の輸入大国で食料自給率は先進国中最低。もう開国しているといっていいのではないか」と述べ、「極めて慎重に考えていかなければならないと鹿野大臣以下一致している」と話した。
 また、農業再生に向け、「農業再生は非常に厳しい状況で課題は山積だが、JAグループの支援と協力は必要不可欠だ。これからも本音での話し合いで日本農業再生に向けて共に努めていきたい」とあいさつした。

◆組織の枠を越えた協同に期待

 全国農業会議所の波多野重雄副会長は「日本農業に危機感をあおるTPPに一緒になって反対していく。農民が安心して農地耕作していけるようにJAグループとタッグマッチで進んでいきたい」、日本生協連の山下俊史会長は「国際協同組合年を契機にJAと生協との協同が一段と深められることを期待したい。組織の枠を越えて連携し、協同組合の価値を実践することで地域社会で失われつつある絆を新たに紡いでいきたい」と述べた。

(2011.03.08)