農政・農協ニュース

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宮城県、2000haを県間調整へ 主食用米の作付け

 宮城県では、東日本大震災での津波被害などで米の作付が不可能となった水田のうち、これまでに判明した5000ha分について県内・県間調整を進めている。

 宮城県内では仙台以南の平野部を津波が襲い、水稲と施設園芸地帯を直撃した。農水省の調査では被害にあった農地面積は1万5002ha(うち田は1万2685ha)となっており、農地全体の11%を占める。地盤沈下で現在も冠水している水田も多い。
 これまでの県・JAグループ宮城のとりまとめでは5000haが作付不能となり、このうち3000haについては4月8日までに県内各地と調整した。この県内調整では登米市、栗原市でそれぞれ1000ha、その他の地域で1000haの生産を引き受けた。
 再配分はとも補償の考え方で進めた。
 被災して米づくりができなくなった生産者もすでに戸別所得補償制度への加入を前提に生産数量目標の配分を受けていたことから、県内調整を引き受けた他地区の生産者から増産分に対する定額交付金(10aあたり1.5万円)を受け取る、という条件としたいう。
 一方、この調整によって主食用米の生産を増やした地域では、予定していた加工用米や飼料用米などを主食用に振り向けることにした。
 残る2000haについては4月8日に農水省に県間調整を依頼、現在、農水省は宮城県からの要請に基づいて全国に呼びかけている。4月末までには県間調整を終えたいとしている。
 なお、米の棚上げ備蓄制度の実施にともない生産数量目標の外枠とされた備蓄米生産について、宮城県では23年産で5900tの優先入札枠があり、2月25日の第1回入札で5700t(1113ha)を落札していた。これについても宮城県JAグループなどは生産が不可能として農水省に対して契約解除を申し出ており、農水省はペナルティなどを課すことなくこれを認めている。
 農水省は政府買い入れ備蓄米の入札(23年産では19万8800tを予定)については、東日本大震災による各地の水田の被害状況が見通せた段階で再開することを検討するとしている。

(2011.04.12)