農政・農協ニュース

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各国が共存できる国際ルールの確立を 世界の農業団体が共同宣言

 世界66カ国・地域の21農業団体は6月20日、ベルギー・ブリュッセルでWTO農業交渉に関する共同宣言を採択した。

 「我々は一貫性を求める」と題したこの共同宣言では、世界の農業者の主張は「WTO合意は食料の安全保障や安定供給を担う農業者の能力を弱体化させるな」であると訴えている。
 WTO協定では農業の多面的機能や食料安全保障など「非貿易的関心事項」に配慮することが決められているが、共同宣言はドーハ・ラウンドでは「この約束が無視されている」と強調し、気候変動や生物多様性など他の国際的課題で追求されている目標と「一層の一貫性をもたせなくてはならない」とした。
 また、貿易ルールについては「明確で透明で予見可能な共通ルールを尊重するという目標を強く支持する」としながらも、「貿易は人類の発展を可能にする一つの手段であって、貿易それ自体を目的化してはならない」、「食料は人間の生命にとって不可欠なものであり、他の商品と同様に取り扱ってはならない」と強調している。 そのうえで現在提案されている合意案について▽関税削減については主要な農産物輸出国の立場だけでなく、すべてのWTO加盟国の立場を反映すること、▽十分な数の重要品目の自主選択を可能とすること、▽いかなる形態の上限関税であってもまったく受け入れない、ことなどを盛り込んで変更されなければならないと主張している。
 共同宣言署名後の記者会見で、JA全中の茂木守会長はアジアを代表して「世界各国で多様に営まれている農業の重要性を認識し、それぞれの国が共存していける国際ルールが確立されるべき」と意見表明した。

(2011.06.22)