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茶殻などの再利用で殺菌用資材 農研機構が技術開発

 茶殻・コーヒー粕を原料とする殺菌技術を開発したと農研機構の野菜茶業研究所は2月29日発表した。

 殺菌後は速やかに無害化するため安全で、また原料が再利用資源なので低コストで製造できる。
 カット野菜の殺菌(食品分野)、種子消毒(農業同)、口腔内殺菌(医療同)、有機化合物汚染土壌の浄化(環境)など幅広い分野で応用が期待できる。
 新技術で製造した殺菌用資材には、原料として加えた鉄が二価鉄として含まれ、これと過酸化水素が混合することで、反応性の高いヒドロキシラジカルを発生させ、殺菌を行う。 その後、ヒドロキシラジカルはすぐに消滅し、無害化する。通常、二価鉄は酸化されて三価鉄になりやすいが、この資材中では長期間安定維持されることが特徴だ。
 食中毒は世界的に大きな問題。米国では年間7600万人の患者が発生している。安全な殺菌技術が求められるが、塩素系殺菌剤はトリハロメタン(発がん性が高い)を発生させる恐れがあり、塩素臭が残るなどの欠点もある。その他の方法は装置の導入コストが高いなどの問題がある。
 そこで茶殻やコーヒー粕の還元力に着目して新技術の開発に取り組んだという。鉄を含む原料を茶殻やコーヒー粕と混合・反応させて殺菌用資材を得るのが新技術の特徴だ。製造した資材を使えば大腸菌や青枯病菌(野菜の病原菌)を短時間で殺菌する。
 農研機構は製品開発を共同で進める企業を募集している。

《ヒドロキシラジカル》
活性酸素の中で最も強力な酸化力を示す。周辺の分子を攻撃した後、酸素と水に変化する。

(2012.03.02)