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助け合いの精神を発揮  生協の被災地支援活動まとめる

 三菱総合研究所グループのエム・アール・アイ リサーチアソシエイツ(株)は、全国の生協に実施した東日本大震災における支援活動についてのアンケート結果などを「消費生活協同組合の被災地支援活動調査」(A4版238ページ)としてまとめた。
 被災地への支援活動を通して見えた生協の特長・特性や課題を、今後の活動の発展につなげることを目的としている。

 アンケートは2月13日から3月11日までインターネットで実施し、アンケートを送付した974組合中507組合から回答が得られた。また、支援活動を受けた側、行った側へのヒアリング調査を▽コープふくしま▽みやぎ生協▽生協共立社▽尼崎医療生協▽全労済の5生協で実施した。

◆物資支援で大きな貢献

 アンケートの一部を紹介する。
 東日本大震災の支援活動で各生協が「もっとも力を注いだ活動」としてもっとも多かったのが「他の生協への支援―義捐金(組合員からの募金含む)」だった。次に「避難所外の被災者への支援―組合員による物資の提供(義捐金の募金含む)」、「他の生協への支援―飲食物・日用品の提供(有償無償問わず)」となった。
 また「受けた支援でもっとも役立った・喜ばれた活動」は、「飲食物や日用品(有償無償問わず)の物資支援」がもっとも多く、次いで「義捐金」、「支援対象生協の業務継続のための職員派遣」だった。
 一方、「もっとやりたかったが実施できなくて残念だった」活動の上位3位は「職員派遣」、「ボランティアとしての職員派遣」、「飲食物の無償提供、炊き出し」でその支援先はすべて「避難所」。
 「支援活動全般で支障となった課題」でも「十分な人手を確保できなかった」が39.8%でもっとも多かった。

◆コーディネーター機能として

 被災地支援を振り返って生協の特性が発揮できた点としては▽全国組織だからこその迅速で多額な義捐金の集約や被災地情報の収集、▽被災組合員やその家族、被災地域の生活再建に「助け合い」や「生活防衛」の精神を発揮した支援活動、▽被災地県外の組合員に対する被災地域の農林水産物の風評被害緩和や被災組合員宅への訪問など生協の事業機能を活かした支援、▽生協間での横のつながりによる被災地ニーズに対応した支援、などが挙がった。
 とくに震災後、多くの支援物資が集まっても被災者に必要なものが行き届かないという問題から支援活動に対するコーディネーター機能の必要性が指摘されたが、全国組織である生協の連携はまさにその役割を果たしたといえる。
 日常的に配達事業を行ってきた生協にとって、地域の道や事情に詳しい配送職員が物資の支援に力を発揮したといった声もある。
 また、震災当日の3時間後に宮城県亘理町の避難所に2000個のおにぎりが届けられたことや、行く先々で組合員の手を握って励ました職員の行動はテレビ番組でも取り上げられるなど、生協の活動に世間の注目が集まったと報告している。
 民間企業とは違う生協の特長には「組合員」の存在も大きい。その影響として▽迅速・多額・大量な義捐金や物資の調達、▽連帯意識からの励まし合いや応援メッセージといった自発的行動による精神的な支援、▽全国組織を活かした被災地の情報スピード、調達力、▽ボランティア人材の動員、などが挙がった。

◆広報の強化、今後の課題に

 一方、生協の限界・制約を感じたこととしては▽組合員への公平なサービス提供を使命とすることによる活動の制約、▽員外利用規制によって組合員外への支援の規制、▽NPOや行政など生協間以外との連携不足、など。
 また、店舗や拠点の少ない一部の地域では、生協による支援への理解や協力を得るまでに時間がかかったことがあったとして、これまで生協が行ってきた支援活動を広く伝えていくことも今後の課題としている。
 報告書は日本生協連のホームページから閲覧できる


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