農政・農協ニュース

農政・農協ニュース

一覧に戻る

【2012総選挙】 衆議院選挙に向けた主要政党の農政公約

 12月4日に公示された第46回衆議院総選挙は16日が投票。主要政党の農業政策に関する公約とTPPについての考え方を公表されている公約集から主な項目をまとめてみた。

nous12120712minsyu.jpg●民主党
○農林漁業を6次産業へ転換し、2015年度までに3兆円産業に。
○農林漁業成長産業化支援機構法にもとづく地域ファンドから、6次産業化に取り組む事業者への出資と経営支援を推進。
○戸別所得補償を法律にもとづく安定した制度とする。食料自給率50%をめざす。
○「人・農地プラン」を2013年度までに作成。新規就農者への給付金の給付、地域の中心となる事業者への農地集積を行う。
○食品トレーサビリティの促進、原料原産地表示拡大、食品表示の一元化。
【TPP】
○アジア太平洋自由貿易圏の実現を目指し、環太平洋パートナーシップ、日中韓FTA、東アジア地域包括的経済連携を同時並行的にすすめ、政府が判断。その際、国益の確保を大前提とするとともに、日本の農業、食の安全、国民皆保険などは必ず守る。


nous12120712jimin.jpg●自由民主党
○高付加価値化や農商工連携強化を進め、競争力のある「攻めの農林水産業」を展開。
○政権交代後大幅に農林水産予算を復活(規模拡大のための取り組み、農業農村基盤整備事業など)。
○「戸別所得補償」から「農地を農地として維持する支援策」へ振替拡充(多面的機能直接支払い法)。
○担い手の育成確保対策を推進(担い手総合支援法)。
○食料自給率及び食料自給力(農地・水などの農業生産基盤、農業者、農業技術)を維持向上。
【TPP】
○「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、TPP交渉参加に反対。(食料安全保障)


nous12120712mirai.jpg●日本未来の党
○子育て、医療、福祉、教育分野での産業・バイオマス資源の活用による環境配慮型産業の振興や戸別所得補償による農林漁業の活性化などにより雇用を創出。
【TPP】
○交渉入りに反対。
○自由貿易のためのFTA、EPAは積極的に推進。
○食料安全保障の観点からも食料自給率50%をめざす。


●公明党
○食料安全保障特別予算枠を創設。当面は食料自給率を金額ベースで80%、カロリーベースで50%程度。
nous12120712komei.jpg○水田・畑作の戦略作物について地域ごとの再生産価格を確保する経営セーフティネットを構築。戸別所得補償制度の固定部分は維持、変動部分は農家からの拠出を伴う経営所得安定対策へと転換。
○地域の自主裁量を尊重した、新たな産地確立交付金制度を導入。
○不慮の収入変動に対処するため、価格下落時の収入を補てんする野菜・果樹・花き農家への積立型の収入保険制度を創設。
○中山間地域等直接支払制度の恒久化、農地・水保全管理支払制度の着実な実施、及び環境保全型農業直接支払制度の拡充。
○新規就農者総合支援事業を着実に実施。
○未利用農地のデータバンク構築や、新規就農者への農地リースなど農地確保対策を強化。
○物納された農地が農用地として活用できるよう制度を検討。
○国内の畜産・酪農生産基盤の維持・拡大のために、草地整備や畜舎改修などの生産基盤整備を支援。
○市民農園・農業体験農園の整備を推進。
【TPP】
国会に調査会もしくは特別委員会を設置し十分審議できる環境をつくるべき。


●日本維新の会
nous12120712ishin.jpg○戸別所得補償制度の適用対象を専業農家に限定。中山間地域等直接支払制度の見直し。
○農協法改正→系統における資金部門と経済部門の関係、独禁法適用除外の適用範囲見直し、優越的地位濫用の禁止、第2・第3の農協的組織育成による競争原理導入。
○農業版整理回収機構の設置→農業不良債権と耕作放棄地の集約、公庫融資および補助金の絡んだ不良債権の再生ルール化。
【TPP】
○TPP交渉参加、ただし国益に反する場合は反対。


●日本共産党
nous12120712kyosan.jpg○ミニマム・アクセスを廃止。
○農家の選別をやめ、大小多様な農家経営を数多く維持。
○集落営農や大規模農家も応援。
○新規就農者を増やす特別の努力。「新規就農者支援法」を制定。
○農協や農業関係団体の役割を重視。
○農外企業や株式会社一般の農地利用を厳しく監視。
○米価に過去3年の生産コストの平均を基準として販売価格との差額を補てんする「不足払い制度」を創設。水田のもつ国土・環境保全の役割を評価して当面10a1〜2万円の所得補償を実施。
○播種前契約方式を抜本的に見直し、買入価格を引き上げるなどで5年未満の米で早期に備蓄米100万トンを確保。
○大手流通企業による買いたたきを規制。
○水田における主食用以外の増産。当面、麦・大豆・飼料作物などの助成金を10a平均で5万円に増額。
○畑作、畜産、野菜、果樹などに価格・所得対策を充実。生産や流通、加工などの実態に即した価格保障(価格安定・支持制度)と所得補償の拡充。
○中山間地域等直接支払い制度を恒久制度として立法化。
○農林水産予算を大幅に増額して、食料自給率50%をめざす
○都市づくりに農業を位置づけ「都市農業振興法」(仮称)を制定。
【TPP】
○参加をきっぱり断念させる


nous12120712minna.jpg
●みんなの党
【TPP】

○TPPの速やかな交渉参加、東アジア包括的経済連携構想の交渉推進。EU等アジア以外の国や地域とのFTA(自由貿易協定)・EPA(経済連携協定)を推し進め。農業を聖域とせず、減反廃止と関税撤廃を基本とし「輸出する農業」への転換。
○政府は国全体の農業生産に関与するが、農林水産業や農地関係のルールは各地域で決める。
○コメの減反政策を段階的に廃止。農地転用規制(「ゾーニング」=土地利用規制の導入等)を徹底、耕作放棄地を有効活用できる仕組みを確立。
○減反政策廃止によるコメ価格の急激な下落を避けるため、意欲的な農業従事者に対して「直接支払い制度」を導入する。
○農業生産力向上につながる規制改革を進め、「新農業法」の制定によって農業分野への株式会社の新規参入を認める。
○農業委員会に代わり、外部委員が多数を構成する「平成農業再生委員会」を創設。
○農協の地域独占体質を排するために「農協改革」を断行。


nous12120712syamin.jpg
●社会民主党
○「農業者戸別所得補償制度」の法制化。
○当面、▽定額部分は、家族労働費全額算入、定額部分は2万円以上、▽全国一律方式からブロックなど地域性を重視した制度設計▽飼料増産にむけた畜産振興策を強化など。
○環境保全型農業直接支払交付金10a1〜2万円に拡充。
○里山面積に対し最大10a4万円の直接支払制度を創設。
○食料自給率は「2020年に50%以上」。
○「田んぼの底力をいかす農業改革法」。
○国の責任において効果的な過剰米対策、価格対策を実施。
○所得補償制度に乗じた米の買い叩きを厳しく監視・指導。生産者の立場にたった価格形成システム。
○政府備蓄米は300万トン。
○「青年就農給付金制度」は環境保全型農業を基本。農業大学校等の研修施設を充実。
○優良農地は470万haを確保、耕作放棄地や遊休農地の再生・保全・活用。
○一般株式会社による農地取得や長期貸借、農業生産法人の出資要件緩和は厳しく制限。
○相続税や宅地並み課税などの税負担を軽減。
○農協改革は地域の人々との連携を強化、環境保全型営農活動の展開・指導、農村環境の保全など民主的な農協活動をめざす。協同組合や非営利組織には統一的な育成・支援策。
○すべての飲食料品に「トレーサビリティ制度」を導入。
○生乳もしくはプール乳価の生産費を踏まえた不足払い制度や直接所得補償制度を導入。
○「肉用牛肥育経営安定特別対策事業」の補てん割合を8割から10割に。
○「肉用子牛生産者補給金」の保証基準単価を引き上げ。
nous12120712daichi.jpg【TPP】
○TPP参加には断固反対。

●新党大地
○農業・水産業・林業・介護福祉・再生可能エネルギー等を成長産業とするため大胆な投資により雇用を拡大。
【TPP】
○日本の文化を守るため断固反対。nous12120712kokumin.jpg

●国民新党
【TPP】
○食糧自給力、医療、教育、通信等、基幹産業、知的所有権保護の観点から現状のTPPには反対。

●新党改革
○農地・人・技術を経営資源として作物を加工、付加価値をつけて販売・マーケティングする「持続的農業経営体」を拡大、支援法をつくる。
nous12120712kaikaku.jpg【TPP】
○参加した場合の影響について十分な情報開示を行うこと、弊害の出る分野があれば対策をしっかり行うこと、国益を十分に守ることを前提として「交渉参加」を慎重に検討。

(2012.12.07)