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農薬のいろは

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農薬のいろは(3) 農薬登録の仕組み

 前回、農薬は農薬登録されるまでに「病害虫や雑草に対してどれだけ効果があるかだけではなく、人はもちろん環境などに影響をおよぼさないかどうかさまざまな試験が行われています。そしてそれらをすべてクリアしなければ登録されず、世の中にでてくることもありません。だから、登録されて市販されている農薬は間違いなく安全」といいました。
 今回は農薬が開発されてからどのような過程を経て農薬登録されるのかをみてみます。

 図は農薬メーカーなどの研究・開発部門で新規の有効成分として開発された農薬が農薬登録を取得するまでの過程をまとめたものです。
 これを見ると、開発段階に入ってから登録申請するまでにおおよそ8年前後かかっています。この間に、その成分が対象とする病害虫や雑草に本当に効果あるのか、そして薬害はどうかといった「薬効薬害試験」。急性毒性などを調べる「毒性試験」。発がん性などを調べる「生体内等代謝(動態)残留試験」。魚やミツバチ、鳥などへの影響を調べる「水産・有用生物影響試験」などが行われ、それらの試験データを揃えて登録申請しなければいけないことになっています。試験データの詳細は省きますが、60数種類の試験がなされ安全性が確認されたものだけが申請されます。
 世界的に有名な農薬メーカーに聞くと、年間に開発される新規有効成分の数は10万にも上りますが、最初の試験である「薬効薬害試験」を終えて残るのはわずか200〜300だそうです。さらに人や環境、魚などへの影響を試験して問題があればその段階でふるい落とされます。
 こうしたさまざまな試験にパスして、晴れて申請にこぎつけられるのは年に1つ。ゼロという年もあるといいます。8年をかけて登録申請される確率はなんと10万分の1です。登録申請されてからもさまざまな審査が行われ登録が認可されるのにさらに2【?】3年かかります。合わせて10数年の歳月がかかり、そのためにかかる費用は、数十億円〜100億円といわれています。
 これだけの膨大な時間と莫大な費用をかけ、数多くの試験をクリアして取得できた農薬登録の有効期限は3年です。つまり3年ごとに再登録しなければ、農薬として認められません。しかも再登録のときにさらに追加データを求められることも多く、登録を長年にわたって維持するのにも多大なコストがかかります。そうしたコストを負担しきれないということで、生産現場では有用な農薬と評価されていても再登録されない農薬も増えています。

(独)農林水産消費安全技術センターのホームページから

 (図は(独)農林水産消費安全技術センターのホームページから)
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(2012.04.25)